VRプラットフォーム戦争の幕開け!Project Alloyのビジネスモデル

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ビジネスモデル解説

2016年8月、IntelはVR(仮想現実)閲覧用ヘッドセットProject Alloyを発表しました。技術的にも面白い要素を含んでいますが、さらに興味深いのは、そのビジネスモデルです。Intelはヘッドセットを製造するのではなく、オープンソースとして仕様を公開すると言います。その意図はどこにあるのでしょうか。

 

年平均181%で成長するVR/AR市場

ポケモンGoがVR/ARの可能性を大いに証明しました。モンスターが現実世界に埋め込まれて表示されるのがAR(拡張現実)、仮想世界の中に表れるのがVR(仮想現実)の例となります。VR/ARの市場は今後、爆発的な成長が予測されています。米IDCの調査では、2016年のVR/ARの世界市場規模は52億ドル、年平均181.3%の成長により2020年には1,620億ドルに達するという驚きの予測が発表されました。

VRの世界をよりリアルに体験するため、没入型のゴーグルが開発されてきました。Oculus Rift(オキュラスリフト)、ソニーの「Playstation VR」、HTCの「HTC Vive」などが消費者向けに開発され

各社のビジネスモデルは、それぞれの強みに応じて各社各様になっています。Oculus Riftは親会社のFacebookと連携して、消費者を誘導し、企業の広告プラットフォームとしての役割が考えられます。また、ソニーに寄せられる期待は、全世界に広がるPlaystationのゲーム・ユーザーに新たなゲーム体験を提供することです。そして、HTCはパソコンの周辺機器として、そのエコシステムを広げる狙いがあると考えられます。

 

なぜCPU開発・製造企業のIntelがVRヘッドセットを発表したのか

Intelの競争力の源泉は、CPUの開発・製造にあります。そのため、Intelがヘッドセット自体を売り出す理由はありません。しかし、IntelのCPUを搭載したヘッドセットを広める狙いがあるとしたらどうでしょう。IntelのCPUを前提としたヘッドセットをオープンソースとして、あらゆる会社が開発できるようになれば、ハードウェアの製造へ投資を行わなくても、IntelはVR市場でのシェアを獲得できるのです。

 

Project Alloyで見逃せないのがMicrosoftの役割です。MicrosoftはIntelと提携し、Windows10をOSとして利用させています。以前よりMicrosoftはHololensというARヘッドセットを開発してきました。Hololensは産業用シミュレーションや都市計画といったB2B市場を強く意識しているのが特徴です。Hololensに加えて、Project AlloyによってVR/AR市場のシェア獲得を狙っているのでしょう。実際、Windows に搭載される VR / AR プラットフォーム Windows Holographic 対応コンテンツを Project Alloyへ最適化する計画が発表されました。

 

”VR/AR界のAndroid”を目指すIntelとMicrosoft

オープンソース化によって市場を席捲する戦略はAndroidに似ています。GoogleはモバイルOSをオープンソースとして、スマートフォン・タブレット各社がAndroidに基づいた機器を製造させるよう計らいました。結果として、Androidストアから収益を得たり、Googleのアプリを優先的に導入したりして優位性を示しています。これからの成長が期待されるVR/ARの分野では、Project Alloyがこの役割を担う可能性があります。

 

VRは、少ない消費電力で高い画像処理を行う必要があるため、Intelの技術力が違いを生みます。CPUチップに加え、Intelの3DセンシングカメラRealSenseによって目の前の環境を平面画像だけでなく奥行きまで立体的に認識できるという特徴があります。Intelは、AMDやQualcommなどの競合企業との競争が激化しています。競合他社に先駆けてVR/AR市場を創造していくため、Project Alloyを発表したと考えられます。

 

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