技術系の経験の浅い起業希望者から相談を受けると「アイデアはあるのにシステムが作れないので起業できない」といった言葉を聞く場合があります。しかし、少しずつアイデアを固めていけばよい点を考慮すると、初めから完璧なシステムを構築する必要がなく、代替手段があるのにと思うケースも少なくありません。もし、実現したいアイデアがあるのであれば、システム構築を始める前に替わりの機能を使って実験してみてはどうでしょうか。
「特定の業界・製品に絞って、需要と供給をマッチングさせるコミュニティサイトを作りたい」このようなアイデアは少なくありません。ネットワーク型のビジネスモデルの場合、需要と供給が相応の数だけ集まらないと、双方にとって魅力がないため、少しでも多く興味のある人間を集めるのが有効です。完璧なシステムを構築するまで待つのではなく、代替手段でコミュニティを立ち上げてしまい、それから開発者を探してシステム構築を始めても遅くはありません。オンラインのコミュニティであればFacebookグループ、オフラインのコミュニティであればmeetupで十分ではないでしょうか。
初めから完璧を目指さずに、少しずつビジネスモデルの検証を行う方法は「リーンスタートアップ」と呼ばれます。コストや時間をかけずにプロトタイプを作成し、その都度、顧客からフィードバックを受けることで、全く新しい製品であっても顧客のニーズから離れずに、顧客が求めるものを作り上げるという考え方です。前述のシステムに対する考え方も、このリーンスタートアップに沿っています。システム開発者を雇って何十万人からのアクセスに耐えられるようなシステムを作りたいという思いは脇に置いて、まずは、最初の1人から10人のユーザーからフィードバックをもらい、そのニーズを探ることに注力するのです。
ホームページを作る際にも、システム開発するのではなく、代替手段があります。例えば、Github pagesというサービスを使えば、無料でWebサイトが公開できてしまいます。あらかじめ用意されているテンプレートを利用すれば、システム開発の技術がなくても、文言を差し替えるだけで美しいホームページが完成させられます。(参考：無料で使える！GitHub Pagesを使ってWebページを公開する方法)
もう一歩、拡張性の高いシステムを作りたければ、WordPressの利用がお勧めです。WordPressは世界で最も利用されているコンテンツ管理システムです。ブログでの利用が一般的ですが、Eコマースの機能を付加したり、他のシステムと連携させたりと、様々な機能が追加できるのが魅力と言えます。基礎的な用語さえ覚えてしまえば、プログラミングを全く行う必要はなく、管理画面から追加機能の導入など、自由に行えるのです。
WordPressを運営するにはレンタルサーバーの利用が便利です。自分で大規模なコンピュータを用意する必要がなく、Web画面から設定するだけで、Webサイトの開設が行えます。最近はWordPressの設定に特化したレンタルサーバーが用意されており、低価格で高機能なサーバーが利用できるようになっています。サーバーの負荷が高まっても問題がないよう、高度な技術が使われています。
