海外で活躍するために必要な3つのQ – 海外就職シリーズ (9)

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海外就職

海外で就職するには、求人に見合ったスキルを提供できることが前提です。プログラマーであれば、プログラムが書けるという技術に価値があり、雇用される可能性が生まれます。また、知識よりも重要なものがあるという研究もなされています。

シリーズ前回の記事は「たった10年で英語を覚える?海外就職を目指すための英語勉強法 – 海外就職シリーズ(8)

海外就職では英語よりも専門性が問われる

語学はコミュニケーションの手段であり、何が言えるかが重要です。個人が貢献できる何かを持っていなければ、仕事を得ることができません。京都大学大学院の河合江理子教授は、以下のように指摘しています。

国際社会で通用する「グローバル人材」に必要とされるのは専門性です。海外暮らしが長いだけでは、グローバル人材にはなれません。

理系の専門性は高く評価されやすいと考えられます。科学技術は世界共通です。物理法則はどの国でも同じですし、プログラムはどの国のコンピュータでも同じように動作します。どの国にいても、専門性を身につければ、海外で評価を得ることができます。一方で、営業やマーケティングは現地の言語や文化に根差したものが多くなります。日本の製品を海外に売ったり、海外の製品を日本に持ち込んだりする場合に、日本での営業やマーケティングの知識が活かせることが期待されます。

国際的な舞台で評価される3つの「Q」

経団連調べによると、企業が採用選考時に重視する要素の第1位は11年連続で「コミュニケーション能力」となっています。こういった流れに対し、一部の学生から批判の声があがっています。高い知性を有し、学業に専念してきた学生が内定を得られず、話し上手な学生が次々と内定を得ていることに違和感を感じています。しかし、自社で活躍する可能性が高い学生を探す際には、否定できない現実です。この現象は、日本だけではなく、海外でも同様です。

カーネギー工科大学によると、金銭的成功の85%は、その人の性格、コミュニケーション能力、交渉力、リーダーシップに由来するとされました。驚くべきことに、知識はたった15%しか寄与しないのです。

同大学が提案する能力は、3つのQで表現されます。IQ(Intelligence Quotient、知能指数)に対比される概念で、EQ (Emotional Intelligence Quotient、感情指数)、MQ (Moral Intelligence Quotient、道徳指数)、BQ (Body Intelligence Quotient、健康指数)が提唱されています。

感情をコントロールするEQ

EQは様々な媒体で既に紹介されている概念です。自分や他人がどのような感情を抱いているのかを的確に把握し、調整できる能力です。自分のモチベーションを向上させたり、他人との関係をうまく築くために必要です。自分が何に対してストレスを感じるのかを知るために日記をつけたり、自分の声に耳を傾けることで、EQが向上すると言われています。

海外で働いていると、言語や文化の違いにより、ストレスを感じる機会が多くなります。また、多様な人種の人と交わる中で、他人がどのように感じ・考えるのかということに敏感になることが求められます。高いEQを持つことは海外でうまく人間関係を築くために必須になります。

道徳感を保つ能力MQ

MQは道徳観を持って責任を果たしていく能力を測ります。期限を守る、嘘をつかない、同情する、他人の過ちを許す、といった行為がどれだけできるか、という指標です。海外で働いていると、仕事の進め方や物事の考え方が異なるため、日本では当たり前のことが当たり前でなくなります。それでも、自分自身がプロフェッショナルとして責任を果たしていくことは重要です。

また、他人が思い通りに動かなかったとしても、言い訳せず、建設的に物事を進めていくことが求められます。さらに、法的なリスクを冒さないことは重要です。労働許可や納税は複雑な法制度で、違反してしまう可能性もあります。いくつかの国では犯罪経歴証明書という書類をビザの申請時に求めます。どこの国も犯罪者を自国に入国させたくないので、違法なことをしてしまうと海外で働く夢を叶えることは非常に困難になります。

健康を保って成果を上げ続けるBQ

BQはどのくらい自分の体に注意を払い、健康を維持しているかを測ります。体調の変化を無視したり、ジャンクフードばかり食べていては健康を維持することはできません。適度に運動し、栄養バランスをとる必要があります。健康を維持していると、長期的には、仕事の上でも高い成果をあげることができます。病欠する回数が減りますし、仕事に対する自信や集中力も上がります。

海外で働く場合、健康に対するリスクが高まります。食生活や気候が変わるので、体調の変化に気を配る必要があります。例えば、日照時間の短い北欧では鬱病にたいするリスクが高まると言われています。さらに、医療サービスも日本と異なります。現地の言葉が話せなければ、医師や看護師との会話に困難が生じます。また、自分の体にあった薬が手に入らないかもしれません。健康を維持することは、仕事上のパフォーマンスだけでなく、生活上の満足度にも大きく影響します。

シリーズ次回の記事は「海外就職を決意する前に準備するべきこと – 海外就職シリーズ(10)

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