海外就職を決意する前に準備するべきこと – 海外就職シリーズ(10)

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海外就職

十分なスキルと精神力を持った人でも、お金と情報が十分になければ、就職する前に力尽きてしまいます。現実的な問題として、経済的な備えと、支援してくれるネットワークを持つことは必須です。

シリーズ前回の記事は「海外で活躍するために必要な3つのQ – 海外就職シリーズ (9)

就職活動を開始するまでに6か月分の蓄えが必要

日本は新卒一括採用を行っています。大学在学中のある時期に就職活動を行い、卒業するとすぐに就職します。この方式をとっているのは、日本と韓国のみといわれています。そのほかの国では、就職活動の時期や働き始める時期に明確な決まりはありません。私のスペインの大学院の場合、大学院に企業が訪れて説明会を行うことはありましたが、原則的には就職は個人の責任で個人のタイミングで行うことになっています。

就職活動は卒業後に行うことも珍しくはありません。在学中は学業に忙しいため、多くの企業に応募したり、面接したりすることは簡単ではありません。そのため、卒業後に就職活動を行うことになります。これは法制度などからも垣間見ることができます。国によっては、その国の大学を卒業した外国人には、就職活動を行うための滞在許可を与えることもあります。また、大学の就職実績を見ると「卒業から半年後の就職率」という表記がよく見られ、半年程度の就職活動を見込んでいることが窺えます。

会社に在籍しているうちに海外の企業から内定が得られるのでなければ、あらかじめ海外で就職活動を行うための生活費を蓄えておかなければなりません。上記の就職活動期間を考慮すると、最低限6か月分の生活費は蓄える必要があります。就職活動を現地で行うのであれば、渡航費や保険にかかる費用など、必要経費は思いのほか膨らみます。

ビザを取得するには何をすればよいのか

海外で働く場合、最も大きな問題になるのは、滞在許可・労働許可の取得です。どの国でも外国人に自由に入国されるのは良しとしません。自国民の雇用が奪われる恐れがあるからです。ただし、大学卒業以上の高い技能を持った人材に関しては、優遇される場合があります。

どの国のどの制度を用いると、自分に労働許可が可能性が高いのかを事前に調べる必要があります。例えば、アメリカやイギリスは外国人の労働許可には厳しい国です。多くの企業は、内定を出した後に政府から労働許可が下りないことを憂慮し、労働許可を持たない人間は応募資格がないことを求人に明記していることが多くあります。一方、ドイツなどのヨーロッパの国は、高い技能を持った人材を積極的に受け入れています。

労働許可を得るには、そもそも、現地の企業からの内定が必要です。現地の企業に雇用の意思がある場合に、政府に対して、雇用受け入れの申請をする手続きがとられます。政府は、その求人について、現地では人材が不足しており、自国民の雇用が侵害されないと考えられた場合に、労働許可が下ります。単純作業を行う仕事では労働許可が得られにくいのは、現地の人材で人手が足りており、外国人を受け入れる意味がないからです。大学卒業以上で、特に求人が増えているIT業界などでは、人材が不足しているので、労働許可が下りやすくなります。

海外就職したければ、まず、現地を訪問してみるのがおススメ

現地の会社から内定を得るには、現地の情報を得るのが一番です。そこで私は、就職したい地域を一度訪れてみることをお勧めします。旅行でも短期の留学でも構いません。あらかじめ現地の会社と話す機会が設定できれば一番ですが、就職のイベントなどに参加するだけでも十分だと思います。例えば、MeetupというWebサイトでは、多くのイベントが開催されているのが分かります。どういった企業がどのような求人をしているのか、肌で感じることができるでしょう。

都市によって、栄えている産業は異なります。シリコンバレーはベンチャー企業が有名ですが、ニューヨークは金融業に強いと言われています。自分のスキルと盛んな産業が合致していると、多くの求人に巡り合えることでしょう。

仕事だけではなくライフスタイルの観点からも考える

海外で就職する際には「真面目じゃない」理由を、現地で見つけることをお勧めします。キャリアや収入も重要ですが、せっかく自分の意思で自分の人生を築くのですから、仕事以外の部分でも動機を持つと良いでしょう。文化や食事・気候などが自分に合うことは、就職するまでのモチベーションをより高めますし、住んでからの居心地の良さを高めることにもなります。

私の場合、スペイン・バルセロナの文化に魅了されて、そこに留学したので、憧れの地に住むことは代えがたい喜びでした。一方で、主にキャリアの観点で選んだドイツ・ベルリンは、良い街ではあるものの、その天気の悪さには慣れませんでした。事前に就職を目指す地域を訪れることは、自分とその場所の相性を知るために、有効なステップです。

シリーズ次回の記事は「企業・職種・業界から考える海外就職の可能性 – 海外就職シリーズ (11)

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