企業に応募する場合、一般的にはCV(レジュメ)とCL(カバーレター)という二種類の書類を用意します。CVは履歴書・職務経歴書にあたります。CLは志望動機などを説明する添え状です。
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CV・レジュメで過去の実績をアピールする
CVの文書フォーマットは、日本の履歴書・職務経歴書を合わせたようなものです。学歴と職歴、ならびに保有しているスキルや資格を記載します。インターネットで検索すれば、雛形を見つけることもできます。
CVで最も重要なのは職歴の項目です。どのような立場で、どのような役職を担い、どのような成果を上げてきたのか、をアピールする必要があります。例えば、「10人の営業チームを率いて、前年比10%の売上向上を達成した」という成果を記載します。誰がみても分かりやすいため、数字で説明できる成果が望ましいと言われています。
企業の採用担当者はCVのどのようなところを見ているのでしょうか。採用担当者がCVを見る時間は一枚あたり数秒から数十秒であり、その時点で合否を決めているという説があります。できるだけ、企業が求めているものと、CVの記載が合致するようにしなければなりません。
プログラマーの仕事に応募するのであれば、自分は何年間のプログラミングの経験があると、分かりやすく記載する必要があります。過去の実績と、企業が求めているものが合致すれば、書類選考はパスします。
一方で、企業が見ていないものは何でしょうか。まず、英語力はCVの段階で問われることは少ないと思われます。TOEICなどのテストの点数を書類の段階で要求されることは少なく、ビジネスレベルか日常会話レベルか、といった大雑把な自己申告で済むことが多いと思います。英語でのコミュニケーション力をはかるのは、次の面接の段階になるでしょう。
日本の学校名が話題になることも少ないと思います。私のヨーロッパの知人は、東京大学も早稲田大学も慶応大学も知りません。東京大学は、東京に所在地がある大学としか認識されません。「いい大学」だと日本で感じていようが、そうでなかろうが、海外に行ってしまえば、それを意識する機会は少ないと思います。一方で、大学時代の成績はしばしば応募書類に記載することを求められます。GPA(Grade Point Average)と一般的に呼ばれますが、大学時代の評価点によって、その人の優秀さを評価することがあります。
志望動機を一枚にまとめるCL(カバーレター)
カバーレターは日本では馴染みが薄い書類です。一般的には、以下のような内容を含みます。「どこで求人を見つけたか」「志望動機」「求人票で要求されるスキルを、どのように満たしているか」「連絡先とサイン」などです。
海外の求人票は、求められるスキルや果たすべき責任が細かく書かれています。「プログラミング経験3年以上」「プログラミングに加えて、マニュアル作成も行うこと」といった具合です。細かく書かれた要件に、適切に回答するようにカバーレターを記載すると、自分がどれほどこの求人に合致しているかをアピールすることができます。
カバーレターのフォーマットは決まっていません。どのように記載しても構いません。裏を返すと、自分の個性を発揮して、他の応募者と違いを出すチャンスであるともいえます。例えば、世界中の地域にまたがって仕事をする求人に応募する際に、世界地図をカバーレターの背景に設定し、そこに文章を張り付けてデザインしたカバーレターを見たことがあります。
私の場合は、カバーレターに必ず具体的なエピソードを盛り込むようにしました。以前に勤めていた会社は、教育系のサービスを提供する会社なので、教育に携わった経験を記載しました。日本やブラジルで子供たちにプログラミングを教えるボランティア活動に従事した経験があったので、その経験をもとに、教育に対する実績と熱意をアピールしました。
結果として、書類選考を通ることができました。熱意は過去の行動からしか評価されません。これからやりたい、という意図では十分ではありません。もし自分のやりたい仕事があるのであれば、無償であっても経験を積むことをお勧めします。
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