日本でも世界でも、世界を舞台に活動できる人材を求めています。これは、グローバリゼーションという世界の潮流に起因します。もし、あなたが世界で働きたいと思うのならば、今、絶好のチャンスが訪れています。
シリーズ前回の記事は「私が海外留学・海外就職へと歩みを進めた理由 – 海外就職シリーズ(1)」
グローバリゼーションの3段階
トーマス・フリードマンの「フラット化する世界」は2005年のベストセラーになりました。この本で頻繁に引用される個所は、グローバリゼーションの発展を3つの段階で説明しているところです。
まず、グローバリゼーションとは、社会的・経済的な活動が、国家や地域などの境界を跨ぎ、地球規模の現象に拡大する様子を指します。第一段階のグローバリゼーションは、15世紀から18世紀までの大航海時代と定義しています。ある地域に根差していた国家が、世界中に影響力を広げていく現象をさします。この原動力は武力でした。
第二段階のグローバリゼーションは、1800年から2000年の間と定義しています。この時代にグローバル化したのは企業でした。資本や技術を原動力に、世界規模で活動をする多国籍企業が増えていきました。
そして、第三段階のグローバリゼーションは、2000年を過ぎた現代です。世界中の個人が、国境などを跨ぎ、活動の幅を広げていくようになりました。インターネットさえあれば、どこにいても世界中から知識を得て、スキルを上げて、仕事をすることができるようになりました。専門的な知識を原動力に、スキルをもった個人が競争し、あるいは協力しあい、世界の社会・経済を動かす時代になってきました。
インターネットにより誰でも海外の情報を取得できる時代
今、海外で働こうとする人たちは、このグローバリゼーション3.0の波に乗ることができます。2000年以前は、海外で働くために必要な現地の情報を取得するコストが高く、国や多国籍企業の力を借りる必要がありました。個人で活躍するのは、国や企業から認められた一握りの精鋭だけでした。しかし、現代では、インターネットの発達や自由化の波によって、海外の情報や専門的な情報を取得するコストが著しく低下しました。
今、誰もがやっているように、Googleで検索すればあらゆる情報が検索でき、Wikipediaにはあらゆる物事が解説されています。翻訳ツールを使えば、言語の壁さえ超えることができます。どこにいても誰でも、好奇心と情熱さえあれば、スキルを磨くことができます。国の力も、企業の力も借りる必要はありません。必要なことは、自分の意見を述べ、付加価値を作り出すことだけです。
国際的に活躍できる人材は、どこでも求められている
グローバル人材は近年の流行語の一つです。グローバリゼーション3.0の流れを考慮すると、国や企業ではなく、世界で活躍する個人が求められるのは必然の流れでしょう。グローバル人材の定義は政府内でも様々な議論を呼んでいます。2011年4月の産学連携によるグローバル人材育成推進会議では、以下のように定義されています。
世界的な競争と共生が進む現代社会において、日本人としてのアイデンティティを持ちながら、広い視野に立って培われる教養と専門性、異なる言語、文化、価値を乗り越えて関係を構築するためのコミュニケーション能力と協調性、新しい価値を創造する能力、次世代までも視野に入れた社会貢献の意識などを持った人間。
日本では政府も民間の教育サービス事業者も、英語にとどまらない専門性やコミュニケーション能力をもった人材の育成に力を入れています。さらに、海外でも同様の現象が見られます。ドイツ等では大学卒などの高度な技能を持った外国人に優先的に労働許可を与える政策をとっています。優秀な人材を世界中から集めようという目的です。(出典:http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je13/pdf/p03013_1.pdf)
世界的なコンサルティング会社であるデロイトは、現代の人材獲得競争を「オープン・タレント・エコノミー(開かれた人材市場)」と表現しています。(出典:http://public.deloitte.com/media/human-capital/open-talent-economy.html)
失業率が高止まりする一方で、優秀な人材についてはどこの企業でも人材が枯渇するという現象が世界中で起こり始めています。優秀な人材は場所や働き方に縛られないため、企業は柔軟な雇用体制やフリーランスでの働き方を認めることで、優秀な人材を引き付ける必要があることを説いています。このように、世界を舞台に働きたいという人は、世界の潮流に見合った考えを持っているといえます。
シリーズ次回の記事は「海外就職をするメリットとは何か – 海外就職シリーズ (3)」