残業を減らしたくない日本人に働き方改革はできるのか – 働き方ディスカッション (3)

※当サイトではアフィリエイト広告を利用しています。

働き方改革

日本人は時間に厳しいと言うのは世界的にも有名なイメージです。実際私も子供の頃から10分前行動を習慣づけられてきました。海外に住んでいると日本人と会う時はきちんと時間を守らなければいけないけれども、日本人がいなければちょっと遅れても良いかなと思う時もある程です。国際的な舞台でも、日本人は仕事の期限をきちんと守るという印象を抱いてもらっています。しかし、この印象って本当なのでしょうか。

シリーズ前回の記事は「働き方改革の第一ステップは無理・無駄・ムラの認識 – 働き方ディスカッション (2)

来る時間には厳しくて、帰る時間にルーズな日本人

日本では、集合時間に対しては厳格でも、帰る時間には極めてルーズな傾向が見受けられます。9時から5時まで働くとして、9時には必ず来るのにも関わらず、5時には必ず帰れないというのは極めて不公平だと思います。残業が常態化し会議は終了後の時間に設定される場合もあります。結局、仕事を重視してプライベートを軽視しているから、帰る時間にルーズになってしまうのでしょう。

日本では楽天が外国人を多く採用していると聞きます。外国人が多くなった職場は皆就業時間に帰ってしまうので、日本人も終了時間に合わせて帰る様になったという噂を耳にしました。就業時間に関わらず残業すると言うのは言い訳で周りに合わせてるだけなのかもしれません。

人の迷惑になるから集合時間は守ろう、でも解散するのはチームに対して責任を果たしているのだから遅くなっても良いと言うのは、都合の良い解釈なのではないでしょうか。

日経ビジネスの記事では、残業する理由として「残業すれば出世するから」「帰ってもろくなことがないから」という点が指摘されていました。「日本人は皆、家に帰りたくない」と思って対策を練る必要があると喝破しています。果たして、望んで残業している人たちから残業を減らすのは可能なのでしょうか。

残業を助長している文化や習慣、給与体系が存在している

オンライン生放送学習サービスSchoo(スクー)で「ここが変だよ、日本人の働き方 ー海外から見た日本から考えるこれからの働き方ー」の講義を行った際、残業を減らす工夫として何を考えているか、そもそも残業を減らそうと思っているかという問題提起を行いました。参加した方々が行っている取り組みについて意見を伺っています。

まず、定時に帰りにくいという風潮に関する指摘がありました。先輩・上司が働いているのに部下が帰宅するのは気が引けると感じてしまう人が少なくありません。仕事は終わっているのに、まだ働いている振りをしているだけではないかという意見もあります。さらには、メンバー間で相互監視をしており、一人だけが手柄を上げること良しとしないような悪平等の文化が背景にあるのではないかとのコメントも見受けられました。

個人的に面白いと思った意見は「とにかく帰る。罪悪感はそのうち無くなる」というものです。多くの人が習慣として残業しているのならば、早く帰るのも習慣にすれば良いだけです。前述の楽天の例にあったように、文化は一人一人の行動が生まれる結果なのでしょう。

次に、給与体系についての議論を紹介します。残業代が時間給になっているため、働いた分だけ受け取る報酬が増えていく仕組みになっているため、残業を助長しているという意見です。給与体系・評価体系が残業を前提としている会社もあるのではないかと言われています。その対策としては、残業を実施するハードルを上げるため、上司からの承認制にするという案がありました。本来、会社側から見ると、残業は一時的に増えた仕事量をさばいたり、厳しい納期に合わせたりするため、特別な投資を行うものです。理由もなく残業をしてしまえば、単にコストが増加するだけで、投資対効果が得られません。個人・管理者・経営者の全てが、残業に対するコスト意識を高める必要があります。

また、残業を減らすための対策としては、スケジュールの共有、上司が早く帰る、今日やらなくてもよい仕事はあえてやらない、時間があるときに効率化を進める、無駄な会議を減らす、分業を推進する、といった具体的な方法が提案されました。

残業を残業と思わない働き方は可能か?

ライブ放送では「医療、教育、福祉業界は時間で切り上げられない事情もあります。海外はどうなんでしょう?」という質問がありました。個人的には、それぞれ異なる経験をしています。海外で医療サービスを受けると日本ほど「おもてなし」の心がありません。自分から質問をしなければ医療行為への説明もないし、先進国でも施設の整備が滞っている病院も少なくありません。できること・できないことの線引きが日本と海外では異なっているように思います。また、教育業界は日本よりも長時間労働が少ないと予想します。学生たちを見ていると日本の学生ほど忙しくなく、夏休みも長いように思えました。部活の顧問を担当しないなど、先生たちへの負担が分散されていると認識しています。そして、福祉業界について触れ合った経験はありませんが、ベビーシッター・ハウスキーパー等の供給が日本より多い状況を見ると、海外の方が福祉業界の人材市場が大きいのではないかと想像します。

最も未来を感じたコメントは「仕事を楽しむことで残業という感覚はなくしたい」というものです。遊ぶように楽しく働き、働くように真剣に遊ぶ。そんな生き方が理想ではないでしょうか。仕事をしているときが心底楽しいという時間は大切にしたいものです。残業を減らす、減らしたいというより、残業を残業と思わない働き方を考えてみてはいかがでしょうか。

シリーズ次回の記事は「意思決定プロセスから働き方改革を考える – 働き方ディスカッション (4)

タイトルとURLをコピーしました