起業において「アイデア自体には価値がない」と言われる理由

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ビジネスモデル解説

万人にとって優れた新規事業のアイデアは存在しません。あなたにとって良いアイデアでも、他の人にとっては、そうではないものです。医療業界で働いた経験のない人が、医療業界で起業しようとして成功するでしょうか?普段から若者と会話する習慣のない人が、若者向けファッションアプリを作成して、支持を得られるでしょうか?起業家は、自分が考案した製品あるいは市場について、最も詳しい人であるか、詳しくなろうと努力できる人でなければなりません。

プロダクト・ファウンダー・フィット(製品と起業家の適合度)

起業した当初は、その事業に精通しなくても成功するケースは存在します。特に新しい市場を創出する場合、過去に経験した人は誰もいません。Facebookを創業したマーク・ザッカーバーグはソーシャルメディアの専門家ではなく、ただの大学生でした。しかし、起業家は、その分野が「好き」であり、努力を惜しまない人である必要があります。ザッカーバーグは、人々が多くの情報を交換し、コミュニケーションできる世界を目指してきました。自分が得意である、または、好きであるという視点は極めて重要なのです。

「アイデア自体には価値がない」と言われるのは、上記の理由が大きいのでしょう。どんなに優れたビジネスモデルでも、それを実行する起業家が得意であるか、好きでなければ、成功は覚束ないものです。

逆に、自分の好きや得意と、優れたビジネスモデルが合致したときは、極めて有望な事業アイデアとなります。リスクをとって挑戦するべきなのは、この適合度が高まった時と言えるでしょう。ベンチャー企業を立ち上げた場合、ほとんどの会社は失敗に終わります。また、成功するケースでも、株式公開や他社による買収まで10年以上かかるケースもあります。起業家は、その間、少ない報酬で長時間働く必要があるため、自分の興味に合致していなければ、途中で不満を抱える結果に陥るでしょう。

なぜ今なのか?(製品と時代の適合度)

投資家がベンチャー企業への投資を検討する際に、よく聞かれる質問として「なぜ今、このビジネスを行う必要があるか?」が挙げられます。人々の認識や技術の変化など、その時代を左右するものは多々あります。成功するベンチャー企業は、この時流を捉えるのが極めて上手だと言われます。

大ヒット商品「ポケモンGo」はスマートフォンが普及していなければ、成功はあり得なかったでしょう。ポケモンGoを開発したナイアンティック社が似たような仕組みを使ったイングレスというゲームを成功させていたため、技術的にも実証済みの状態でした。また、知的財産を有効に使ったライセンス事業への興味を示していた任天堂グループにとっても、ポケモンGoは魅力的に映ったことでしょう。ユーザーに目を向ければ、健康志向が高まり、FitbitやAppleウォッチといったウェアラブル端末の認知度が高まっていたものの、決定的なアプリは登場していない状態でした。ポケモンを捕まえながら散歩するライフスタイルが中高年に長く受け入れられたのは、消費者の潜在的なニーズと合致していたからと言えるでしょう。「ポケモンを使ったイングレス」、あるいは「ポケモンのゲーム感覚を導入したFitbit」といったビジネスモデルが、その時代と合致していたのです。

製品と時代は上手く合致している必要があり、早すぎても遅すぎても成功には至りません。Facebookが普及する前にも、MySpaceなどのソーシャルメディアは存在していました。それでも、Facebookが最も大きな市場を獲得したのは、製品と時代の要請が最も合致したからと言えるでしょう。「いつやるの?今でしょ!」と自信を持って言えるビジネスモデルは、優れたアイデアです。

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