起業にまつわる「やってはいけない」こと

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ビジネスモデル解説

自分のアイデアが優れていると信じる起業家は、そのアイデアを人から隠そうとする傾向があります。しかし、優れたアイデアは誰に対しても優れているわけではなく、特定の起業家にのみ合致しているものです。プロダクト・ファウンダー・フィットの議論から分かる通り、その人の強みにあったアイデアこそが優れたアイデアになるのです。逆に言えば、誰にでも始められるようなアイデアは、あまり見込みがないのかもしれません。情熱を持った起業家ではなく、資金力を持った大企業が進めるべき事業です。あなたがやるべき事業ではなかったと考えましょう。

自分のアイデアは唯一無二のものと考え、隠そうとする

自分のアイデアに新規性があると考える起業家は、自分には競合他社がいないと考えてしまう間違いを冒す傾向にあります。あなたが世界で初めて飛行機産業を立ち上げたとしましょう。飛行機業界の先駆者であれば厳密な競合はいないかもしれません。それでも、船や電車といった長距離移動といった観点でみれば、競合は存在するのです。Googleの競合とは誰でしょうか。検索エンジンという次元で見れば、マイクロソフトやヤフーになるかもしれませんが、広告ビジネスという観点で見れば、テレビや新聞も競合です。視野を広く持ち、顧客のニーズを満たす代替手段が何かという思考過程が求められます。

自分のアイデアが特別であると考えるあまり、他人からのアドバイスが聞けなくなってしまう起業家も見受けられます。新規事業構築において独自性は必要ですが、中核となる部分以外は客観的な意見を取り入れた方が、ビジネスモデルの検証が進んでいくものです。アイデアを隠したり、特別視し過ぎたりせず、自分のアイデアを改善する良い機会だと考えて、積極的にアドバイスを求める方が、成長が加速されます。

顧客からの反応を無視し、自分のアイデアに固執してしまう

顧客からの反応は何よりも重要です。自分が考えた製品を使い、お金を払ってくれる人がどう思うかを中心にビジネスモデルの検証が進んでいきます。顧客の意向を軽視する事業に未来はありません。「自分の製品が売れないのは顧客が理解してくれないからだ」事業に本気で取り組んでいる起業家ほど、こんなバカげた考え方に陥りがちです。自分に都合の悪いフィードバックでも、謙虚に受け止める態度が求められます。

リーンスタートアップでは、少なく初めて大きく育てる方針で進めます。そのため、創業初期から多額の資金調達は必要ありません。初めから銀行から多額の借り入れを行うと、売り上げが上がるまでに資金繰りに困ってしまうかもしれません。コストがかかるような製品開発は後回しにして、それ以外のビジネスモデルの検証を先に行うべきです。資金が不足しているならば、インキュベーター・アクセレレーターといった創業支援プログラムを上手に活用する方法が考えられます。

資金面を考えると、人材採用にも慎重にならざるを得ません。ビジネスモデルの検証を経ないまま、多くの従業員を抱えると、ピボットによる事業の転換が困難になり、顧客が求めるものと製品のすり合わせが難しくなります。固定費が増加しないよう、少ない人数でできる範囲の検証作業を行うようにしましょう。そのため、創業当初のメンバーは、一つの技能に特化した専門家タイプよりも、複数の技能を持ったゼネラリストタイプの方が重宝されます。

一つの作業にかかる時間を過少に評価する

戦略立案において、一つの作業にかかる時間は往々にして過小評価されがちです。製品を開発し、ビジネスモデルを検証するのは驚くほど時間がかかると心得ましょう。必要最小限の機能を開発するにしても、半年や1年かかってしまうケースは少なくありません。膨大な時間を使って顧客が求めていない機能を開発してしまわないよう、細目にフィードバックを受けるよう頭を使う必要があります。

新しい製品アイデアを守るには特許によって模倣を防ぐことができますが、特許を過大評価してはいけません。特許には新規性・有用性といった要件があるため、特許が取得できる程のアイデアであれば、理論上価値があると言えます。しかし、それがビジネスの成功を保証するものではありません。特許が取得できても、買い手がつかない製品はいくらでもあります。また、特許は製品機能の一部の独自性を証明するだけであり、ビジネスモデルとは関連がありません。ビジネスモデルの検証を行い、事業としての成長を実現するのが目的なので、特許が取れれば成功が約束されたと考えるのは早計です。

いいものを作れば売れるはず、というのは、よくある勘違いです。ビジネスモデル・キャンバスが示す通り、顧客へ提供する価値を中心にして、開発プロセスや販売プロセスが上手につながっている必要があります。ビジネスモデルを構築するというのは、製品と販売が両輪となって成長を持続できる状態なのです。

新規事業を立ち上げるというのは、法人を設立することと同じではありません。法人化を行うのは、法律上必要であったり、顧客からの信頼を獲得するために必要だったりするからです。本質的な部分は製品を開発し、顧客へ価値を提供し、ビジネスモデルを検証する作業にあります。起業家が法律に詳しくなければ、事業創成に詳しい弁護士を雇えばよいだけです。形式にとらわれず、本質的な作業を見失わないようにしましょう。

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