共同創業者を見つけ、相互補完できるチームを作る
共同創業者の存在は極めて重要です。自分が営業・事業開発に強みがあるのならば、技術に強い人を共同創業者として探すようにしましょう。人数が少ないからこそ、補完的なスキル・人間性を持った人とチームを組む意味があります。共同創業者は、解決するべき社会問題に対して強い目的意識を持った人材でなければなりません。事業が成功するまでは少ない給料で多くの労働時間を捧げなければならない運命共同体になるので、事業に対する方向性をすり合わせる必要があります。多くの起業において、これまでに一緒に仕事をした経験がある人や、同じ学校で学んだ人から共同創業者を選ぶケースが多いのも、方向性のすり合わせがしやすいのが理由と言えるでしょう。
今すぐに始められるビジネスモデルの検証
ビジネスモデルの検証は、製品開発を行わなくても、今すぐに始めることができます。例えば、ユーザーのニーズを探るためにアンケートを作成し、想定される顧客層の人と対話してみると良いでしょう。製品を開発する代わりに、ブログを作成し、どのようなコンテンツに人は興味を抱くのかを推定する方法もあります。このような作業は、会社を辞めて毎日没頭しなくても、休日や終業後の時間を使って進められるものです。ある程度、ビジネスモデルの検証が進んでから会社の設立に向かっても遅くはありません。
一方で、このアイデアで起業をすると、決断をしたら、そこには強い決意が求められます。新規事業を立ち上げてから、IPO(新規株式公開)や大手による買収によって資金回収ができるまでの期間としては、一節には10くらいかかるとも言われています。10年間、一つの事業にしがみつき、どんな困難が起こっても事業の成長を信じて突き進むというのは、並大抵な覚悟では不可能です。もし、それほどの覚悟ができないのであれば、自分で事業を立ち上げるのではなく、似たような信念を持ったベンチャー企業へ就職したり、共同創業者や創業メンバーを募集している起業家と共に事業を立ち上げたりする方が望ましいでしょう。
誰よりも事業について突き詰めて、戦略を練る
一つの事業を立ち上げると決まったら、その分野に関しては誰よりも詳しい人間であることが期待されます。例えば、トイレに関する事業を立ち上げるなら、世界の誰よりもトイレに詳しくなるよう、文献をあさり、多くの製品に触れ、関係者と知り合うような努力が求められるのです。市場動向、競合他社の差別化要因、ビジネスの成功を左右する要素など、全ての質問に答えられるよう準備するようにしましょう。顧客や投資家、共同創業者や従業員といった人々は、これらの質問に答えられない起業家を信用してはくれません。
万人に賛同される新しいアイデアは存在しません。もし誰もが良いと感じるアイデアがあるとすれば、それは既に実現されていると考えた方がよいでしょう。社会に足りていないものを指摘し、その問題を解決しようと思えば、賛否両論が巻き起こるものです。シリコンバレーの有名な起業家育成プログラムYコンビネーターでは「優れたアイデアほど馬鹿げてみえる」と説きます。24時間以内に投稿が消えるSNSと聞いて、いいアイデアと思えるでしょうか。今では、スナップチャットが若者から支持を集めています。世界には様々な立場・意見を持った人がたくさんいます。自分のアイデアが対象とする顧客層の反応を大切にし、それ以外の声は参考程度に聞いておくような態度が丁度良いのかもしれません。
戦略とは、短期的な計画と長期的なビジョンのバランスを取り、優先順位を明確にする試みです。新規事業の立ち上げにおいても戦略作りは必須です。例えば、電気自動車の開発・製造を行うテスラを立ち上げた起業家イーロン・マスクは、テスラの戦略を3つの簡単なステップに要約しました。まず、デザイン性に優れたスポーツカーを開発して、新しいものに敏感な人々からの支持を集め、同時に、初期の売り上げを確保する。その資金を使って大衆車を開発して、大きな市場でシェアを確保する、といった流れです。資金の不足する創業直後では、大規模な投資が必要な事業の実現は困難です。今すぐにターゲットとするべき顧客層と、会社が大きくなってから対象とする顧客層は異なっても構いません。優れた戦略を考案するのは起業家の務めです。
アイデアを一言で表すと?
「食事配送のためのUber」「ヨットのためのAirbnb」。既に有名な事業に見識のある人同士が会話する場合、他のビジネスモデルを引き合いにして説明すると、会話が迅速に進みます。共同創業者や投資家、顧客、従業員など、あらゆる関係者に事業アイデアを伝える必要のある起業家にとって、簡単に事業概要の説明できる一言は極めて強力な武器となるのです。他のビジネスモデルを上手く応用できたアイデアは、一言にまとめるのも簡単にできます。一言で表せないアイデアは、まだ、その本質が明らかになっていないのかもしれません。最も重要な部分は何かを考えると、自ずとフレーズが明らかになるでしょう。
エレベーターピッチを知っていますか?エレベーターで投資家と乗り合わせた起業家が、投資家の注意を引けるよう、エレベーターに乗っている数十秒で事業アイデアを説明する試みです。30秒、1分、3分、10分など、様々なパターンでエレベーターピッチを用意するのが良いとされます。その長さに応じて、説明の粒度を変え、必要な情報を相手に提供するのです。
エレベーターピッチを極端に追及したのが、アイデアを一言で表す取り組みと言えるでしょう。一言で興味を得られた相手には、具体的な情報を提供します。興味が惹けなければ、その後のビジネス交渉もうまくいかない可能性があります。