バルセロナに大手テック企業が集積し“イノベーション・ハブ”へ!就職のチャンスも広がる

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テロや独立運動を乗り越え、大手企業やベンチャー企業がバルセロナにオフィス設立

バルセロナに大手企業が次々とオフィスを作っています。Facebook、Amazonは500人規模の支社を設け、Microsoftは2019年以降の開始が見込まれています。伝統的企業も、特にソフトウェア開発部門の開設が目立ち、製薬会社Rocheや保険会社Allianz等がオフィスを設けました。さらに、ベンチャー企業も第二・第三の開発センターを設置するようになり、ドイツ発のモバイル銀行N26が代表例です。

バルセロナが人材の観点で注目されるのは、これまで、コストの安さが主な理由でした。生活コストは東京と比べて3割、ロンドンと比べて4割ほど低いため、給与もそれに比例して抑えられます。雇用主にとっては、有能な人材が安く調達できるのがメリットでした。

2017年はテロや独立運動の過激化の影響があり、バルセロナから人も会社も離れていきました。大手銀行を始め、バルセロナから本社を移転させる企業が相次ぎました。しかし、2018年からは、潮目が変わり、多くの企業がバルセロナにオフィスを構えるようになったのです。

 

FacebookやAmazon、WeWorkといったテック企業に加え、ロッシェやネスレも参入

ここでは、バルセロナにどのような企業が訪れ、何の機能を配置したのかを見てみましょう。まず、Amazonは大規模な配送施設を構築しています。また、スペイン・フランス・イタリアの中小販売業者をサポートする部署も新たに設けたため、2019年までに500人、2020年までに1500人の雇用が見込まれました。

Facebookはフェイクニュース対策の拠点としてバルセロナを選びました。アグバルタワーと呼ばれる有名なオフィスビルで、同社が抱える大きな問題の解決を目指します。

コワーキングスペース大手のWeWorkもバルセロナに拠点を設けています。ベンチャー企業やアクセレレーター等が多く存在するDistrict 22@という地域にあり、フリーランスやスタートアップからのユーザーを集めています。利用料はニューヨークやサンフランシスコの半額になっているようです。

モバイルゲーム「キャンディ・クラッシュ」で有名なKingはイギリス発のベンチャー企業です。以前からバルセロナでゲームの開発を行ってきましたが、2018年に9000平方メートルもの、大きなオフィスへと移っています。

糖尿病向けサービス開発のデジタル・ハブを設けたRoche、情報サービスやEコマース、Webサイト開発を行うNestle等、数えればキリがない程、多くのオフィスが2018年前後に設けられています。

 

モバイル技術、データ分析、バイオ技術に強みを持ち、ロンドンやベルリンに次ぐベンチャー投資

欧州におけるイノベーションや起業に関する調査を見ると、バルセロナは多くの場合、3位か4位に位置しています。ロンドンやベルリンが上位を占め、パリやアムステルダム、ストックホルムと競う関係です。

ベンチャー企業への投資額で見ると、2017年に4億7700万ユーロが投じられ、これは2016年から倍増しています。2018年には、更なる増加が見込まれます。3000を超えるベンチャー企業が存在し、それを支えるのが26万人を超えるIT技術者です。

最も投資を集めている分野がモバイル技術です。世界最大の見本市モバイル・ワールド・コングレスが毎年開催されている通り、モバイル技術への関心は戦略的に行われてきました。他にも、Eコマース、フィンテック、ヘルスケア等の分野に強みを持ちます。

Cabify、Scytl、Typeform、Glovo、inbenta、fon、social point、Softonic、eDreams, Verse, Kantox、実績のあるベンチャー企業はたくさん現れました。

これからはデータ分析とバイオテクノロジーの分野で中心的な地位を占める期待が持たれています。ペプシやチューリッヒ生命、大手銀行BBVAがデータセンターを設置し、Accenureは分析を専門とする部隊をバルセロナに置きました。Nestleは全世界のグループ企業で使用するソーシャルメディアやデジタル・プラットフォームの開発を同地に集約させています。他にも、データ分析の部署をバルセロナに設けた企業としてPrivalia, King, Softonic, Gameloft, SocialPoint, Exoclick, Criteo, Wallapop, Trovit, Skyscanner, eDreams, Travelclick等が知られています。

 

技術系・ビジネス系の人材を引き寄せる、教育レベルや生活の質の高さ

バルセロナの魅力を語る上で欠かせないのは、生活の質が高い点です。晴天の日、ビーチ、スキーリゾート、美味しい食事、音楽、公演、ガウディ建築、等々。曇天の多い欧州諸国と比べると、その住み心地は圧倒的です。お金をかけずに、外でのんびりするだけで、幸せを感じられる環境は、従業員の満足度を上げ、海外から優秀なタレントを誘引する動機となるのです。

スペインではここ10年ほど、エンジニアリングやデザインの教育に力を入れてきました。大学での教育はレベルが高く、海外からの留学生も多く集めています。技術系の人材を集めている国としては、イギリス・ドイツに次ぎ、スペインは第三位です。

欧州でも有数なビジネススクールがバルセロナにあるのも特筆すべき点です。ESADE、IESEといった学校は、毎年、世界中から優秀な学生を集め、MBA教育を施しています。また、MBAは毎年、時代の要請に合うようカリキュラムの改定を行っており、最近は起業家教育や起業、デザイン・シンキングに力を入れてきました。有名な教授を招へいし、起業に興味のある学生を後押しします。アクセレレーターやアドバイザーを備え、起業の手助けを行います。

起業のエコシステムには欠かせないベンチャー・キャピタルも活発になってきました。Abac Capital、Active Venture Partners、Ariol Capital、Caixa Capital Risc、Flint Capital、Galdana Ventures、Idodi Venture Capital、Intelectium、Inveready、Nauta Capital、Nero Ventures、SI Capital、Sitka Capital、Ysios Capital等が挙げられます。また、アクセレレーター・プログラムとしてはStartupbootcamp、Seedrocket、Conectorが知られています。

バルセロナは立地の面でも有利な点を備えています。VuelingなどのLCC(格安航空)が多く乗り入れているため、欧州のどこに行くにも便利です。北米・南米にも直行便があります。日本には、マドリードやロンドン、パリ、ミラノ、ヘルシンキ等、多くの乗り換え便が利用可能です。

バルセロナは歴史的に見ても、海外から人材を集めるのに慣れています。約3割が外国人だと言われるように、国際的な都市になっています。伝統的な企業はスペイン語、あるいは現地のカタルーニャ語が求められるものの、ベンチャー企業や外資企業は英語でのコミュニケーションも認められるようになってきました。言語の面で柔軟さを持つようになったことで、海外から優秀な人材が訪れるケースが増えてきたと言っても過言ではないでしょう。

 

まとめ

バルセロナにベンチャー企業や大手企業が集まり、イノベーション・ハブへと進化する期待が持たれています。生活の質や、教育レベルの高さが魅力となり、データ分析やバイオテクノロジーの分野で成長が見られます。英語やIT技術があれば、就職のチャンスもゼロではありません。過ごしやすさ、先進的なイノベーションに興味のある人は、バルセロナについて調べてみてはいかがでしょうか。

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