リスクマネジメントを学ぶときに読む本5選

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CTOの視点

リスクと一言で言っても、文脈によって様々な意味を持つので、それを理解するのは難しいと感じるかもしれません。リスクの本質は、損失が起こる可能性の存在を認識する点です。将来、病気になるかもしれない、地震が起きるかもしれない、サイバー攻撃にあうかもしれない、といったリスクの認識するのが、個人にとっても企業活動にとっても欠かせません。

リスクを認識したら、それを低減するための方策が必要になります。人類の歴史の中で、リスクを他者と分けたり、リスクそのものを無くしたりする方法が提案されてきました。例えば、いつ病気になるか分からないので、医療保険に定期的にお金を払い、もしものときに備えるといった仕組みです。また、リスクに対して、事前に対処する方法に加えて、被害が発生した場合に、どのように対応するかといった事後の対応についても検討しておくことが求められます。

本記事では「リスク管理とは何か」と疑問に思っている人や、仕事の中でリスク管理を活かしたいと考えている人に、おススメ書籍を5つ紹介します。

世界一わかりやすい リスクマネジメント集中講座

ストーリー仕立てでリスク管理の基本を解説する一冊です。超初級編から初級編・中級編・上級編・応用編まで一気に振り返ります。序盤では、リスク管理で基本となるフレームワークを学び、後半では中小企業・大企業におけるリスクマネジメントを取り上げます。リスク管理という堅苦しいトピックも、柔らかいタッチで解説してくれるので、新しくリスクについて学ぶには優れた本と言えます。

熊とワルツを リスクを愉しむプロジェクト管理

ソフトウェア開発におけるリスク管理の決定版。筆者のトム・デマルコは、エンジニアの心理に向き合った著名なソフトウェア工学者です。システム開発に関わる人には必携、そうでない人にも参考になる本になっています。

リスク管理の手法はもちろん、リスク管理をすべきでない場面や、リスク管理を避けたくなる人の心理も網羅され、人のリスクに対する態度について深い洞察が窺えます。不確定性を認めない企業文化ではリスク管理ができません。都合の悪い事項を上司に報告したときに、それに対して、論理的な態度を取れる成熟した組織でなければ、リスク管理が運用できないのです。

プロジェクト管理では、スケジュールの欠陥・要求の増大・人員の離脱・仕様の崩壊・生産性の低迷といったリスクが指摘されています。品質・コスト・納期が予定通り収まるよう、定量的に評価する手法が提案されました。

図解ひとめでわかるリスクマネジメント

企業の不祥事や不測の事態に対する事後対応について重点が置かれた入門書です。経営層や総務・法務担当者が実務に使える、分かりやすさを重視した本になっています。特に、改訂第二版では、東日本大震災以降、必要性が再認識された事業継続計画について一章が追記されました。企業運営の一部・全体が停止した場合でも、大きな損害を出さないよう、リスクを管理しなければならいのです。

意思決定のためのリスクマネジメント

組織における意思決定を行うにあたり、それに関連するリスクマネジメントのトピックを総合的に取り入れています。ブランド戦略や内部統制、ISOマネジメント、リスク評価と対応といったテーマで構成されました。特に、リスク研究の歴史を振り返った上で、現代の企業経営におけるリスクの考え方を解説した章は興味深いものでした。行動経済学の研究成果から、意思決定に影響を与える人間の行動パターンを紹介し、意思決定の質を改善するのを狙います。

リスク 神々への反逆 (上)(下)巻セット

1998年に発売された本ですが、リスクに関する古典的名著です。歴史小説のように、数学の始まりからルネッサンス時代の確率論、統計や保険業、金融工学、ゲーム理論、行動ファイナンスなど、現代のリスク管理まで、壮大なスケールで語られます。2009年のサブプライムローン金融ショック以前に書かれた本なので、金融工学の在り方について振り返ってみるのも面白いのではないでしょうか。

上下巻に分かれていますが、Amazonでは2冊まとめた「セット買い」が可能です。詳しくはAmazonのWebサイトを参照ください。

まとめ

リスク管理は、人類の発展と共に研究が進んできた奥深いテーマです。基礎的な理論は存在するものの、それを運用するには個別の検討が必要になります。その企業の状況に合わせて、最適なリスク評価方法、リスクの洗い出し、低減策の考案と実装といった作業には経験が必要です。企業経営から一人一人の担当者レベルの作業まで、リスク管理を上手に適用し、最小のコスト・労力で損害を避けながら、最大の成果を得られるようにしましょう。

リスクの認識が難しいのは、その評価が主観的なものによるからです。ある人にとっては危機的なものでも、他の人にとっては些末な事象になる場合もあります。さらに、損失に対するリスクがある一方で、ポジティブな事象にまつわるリスクも存在します。宝くじは利益をもたらすリスクであり、それに価値を見出すかどうかは、個人のリスク選好に依存するのです。

経営者や事業責任者の立場では、災害発生時の事業継続のように、企業活動全般に関わるリスクが心配事となるでしょう。担当者レベルでも、期限までに不測の事態が起きないよう、品質と予算を守れるよう仕事を進めるのは、リスク管理の範疇と言えます。特に、システム開発の分野ではリスク管理が大きな研究分野となってきました。

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