情報系ビジネスモデルの定石20選

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ビジネスモデル解説

第一次産業(農林水産業)や第二次産業(製造業)は原材料を元手に製品を製造・生産するビジネスモデルでした。しかし、データを中心に考えるようになった現代のビジネスモデルは、より複雑さを増しています。

Googleの顧客は誰でしょうか?主要なユーザーは検索エンジンやそれに関連するサービスを利用する消費者ですが、ほとんどの消費者はGoogleにお金を払っていません。Googleは広告によって収益を得ているため、広告主が顧客になるのです。ビジネスモデル・キャンバスにGoogleと、右側の顧客に当たるのは広告主であり、左側のパートナーに当たるのが検索ユーザーとなります。直感とは異なり、主要なユーザーとお金を支払う顧客が異なるビジネスモデルになっており、これは第一次産業や第二次産業では、あまり見られなかったものです。

データを活用したビジネスモデルとして、以下の20の仕組みが提案されています。(参考:Emerging Business Models for the Open Data Industry: Characterization and Analysis )

フリーミアム

フリーミアムとは、基本的な機能を提供する無料版と、高度な機能を提供する有料版を用意する手法です。大多数のユーザーは無料版を利用しますが、価値の分かりにくい製品や全く新しい分野の製品の場合、コスト無しで始められるので、多くのユーザーが集められるというメリットがあります。無料のユーザーのうち、数%のユーザーが有料版に移行すれば利益が確保できるよう事業を設計します。

無料ユーザーはフィードバックを集めるためにも重要な役割を果たします。新しい製品を開発する場合、製品の細かい部分まで検証作業が必要になるので、無料ユーザーの反応を見て、製品の完成度を高めるプロセスが求められます。また、大多数を占める無料ユーザーが広告塔の役割を果たし、ソーシャルメディアなどで他の新規顧客を勧誘してくれれば、無料で提供しても最終的には収益につながります。

情報系のビジネスモデルの場合、ユーザーを一人増やしたところで、コストはほとんど増加しないという特徴があります。Photoshopのようなソフトウェアを考えてみましょう。一度ソフトウェアを開発してしまえば、あとは何人の顧客に配布しようと、ソフトウェアにかかるコストはほとんどありません。大多数の無料ユーザーが少数の有料ユーザーによって支えられる構図が成立するのは、データを活用したビジネスモデルだけです。

フリーミアムは、お試し商品とは異なります。お試し版は、期間限定や機能限定が前提となり、期間が過ぎれば利用不可能となります。使えばすぐにその価値が理解できる製品に向いた手法です。一方で、フリーミアムは無料版だけでも基本的な機能は利用可能で、期間の限りがなく利用できます。Dropboxは容量に制限があるものの、個人的な利用の範囲であれば無料で限りなく使えます。データの保存や共有は、ある程度の時間をかけて価値が理解できる製品なので、フリーミアムのビジネスモデルに向いていると言えるでしょう。

 

プレミアム

プレミアム製品は、高性能・高級感を持ったブランド力で勝負するビジネスモデルです。ユーザーはその高価格にも関わらず、精神的な満足感やブランドへの共感をもとに、喜んでお金を支払ってくれます。購入前のユーザー体験から、購入後のサポートまで、全てにおいて最高級のサービスが求められるでしょう。

価格の値引きは販売促進の常とう手段ですが、プレミアム製品においては有効ではありません。安易に値段が下がる商品を人は買いたいとは思いません。その高い値段を含めて価値を信じている顧客が対象となるので、既に同じ商品を購入した顧客を失望させないよう、値段設定には慎重を期す必要があります。

配車アプリのUberには、通常のタクシーが配車されるバージョンと、高級車(ハイヤー)が配車されるUber Blackがあります。通常のUberが最適な運賃で手軽に個人輸送を目指しているのに対し、Uber Blackはプレミアム製品として最高級のサービスを提供しています。

 

デュアル・ライセンス

顧客層によって異なる条件で販売する手法です。科学技術ソフトウェアなどは、学校や研究機関に対して無料あるいは安価で提供するのに対し、営利企業に対しては高価な値付けを行っている場合があります。顧客にとって支払い能力の違いは、そのユーザーが持っている予算の違いや、抱える問題に対する緊急度に依存しています。お金を持っていない学生から利益を確保しようと思っても困難な場合が多いでしょう。学生には安価な利用を許し、その分、製品に慣れ親しんでくれれば、企業で働くようになってから高いお金を払ってくれるようになるかもしれません。

 

サポートとサービス

製品自体は無料・安価で提供しながら、それに付随する作業から利益を確保するビジネスモデルです。Redhad Linuxなどのオープンソース・ソフトウェアは、そのソフトウェア自体は無料で提供されているものの、製品のセットアップや機能拡張リクエストなどに対して、コストがかかります。

専門性の高い製品であるほど、顧客は自分自身で作業を行うのが困難になります。見た目のコストが安く見えるものの、その商品について学んだり、試行錯誤を繰り返したりするよりは、サポートにお金を払った方が効率が良いという経済的な判断を行う場合は少なくありません。

以前のIT企業はコンピュータの販売で成り立っていました。しかし、そのコンピュータを使い、いかに業務効率化を図るかという観点で企業の情報システムが見られるようになると、コンサルティングサービスを伴ったシステム構築が主流になっていきました。IBMやアクセンチュアといった企業が業務改革の支援というサービスを提供しながら、システム構築を行ってきたのが良い例です。

さらに、最近ではAWSやGoogle Compute Engineといったクラウドサービスがシステム構築の主流となってきています。コンピュータを所有するよりも、使う必要のある際に必要な計算資源にお金を払うという仕組みによって、コストが最適化できるからです。このようなビジネスモデルはSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)と呼ばれ、サービスの一種として考えられています。

 

変更に対する課金

初期設定で利用する場合は定価で提供されるものの、要件に応じて変更を加える場合に課金するビジネスモデルです。ERPなどの業務システムの場合、初期設定された業務プロセスは汎用的であるため、特定の企業に合致しないケースがあります。そこで、導入する企業は、カスタマイズを施して、使い勝手を向上させます。追加でお金を支払ってでも利用したいという重要度の高いシステムに適用されやすいビジネスモデルです。

 

ユーザー参加による体験の向上

企業が提供する情報だけではなく、ユーザー同士が交流する場を提供することで、製品をより魅力的なものにする手法です。料理のレシピサイト(クックパッド)、レストランのレビューサイト(食べログ)、電気製品の価格比較サイト(価格ドットコム)など、多くの例が挙げられます。

これらのサイトは、多くのユーザーが参加し、活発に交流するほど、そのサービスの価値が向上していきます。より多くの情報が閲覧できて、新たな質問が加わった際に、より速く正確な回答が得られるようになるからです。

運営元の観点では、自社で情報を作成する必要がないため、投資対効果が高いのが特徴です。ユーザー同士が気持ちよく利用できるよう、ルールを制定したり、信頼できるユーザーを特定して権限を与えたりする、コミュニティ管理が重要な役割となります。エンジニア同士のQ&AサイトStack Overflowの場合、初めから全ての機能が利用可能なわけではなく、他の人の質問に優れた回答を行った場合にポイントが付与され、自分から質問を投稿するなど、多くの機能が利用できる権限が与えられるルールになっています。

レビューサイトで嘘の書き込みがなされたり、企業によって感想の内容が捻じ曲げられたりすると、サービスの信頼が損なわれます。このビジネスモデルでは信用・信頼が最も重要な価値です。悪評の広まりやすいソーシャルメディア時代ではもろ刃の剣となりかねません。

 

データの公開

営利企業であまり見られないビジネスモデルですが、NPOや政府機関などで検討される手法です。その機関が抱えているデータを広く一般に公開し、そこから得られる分析結果によって業界の発展や利用者の利便性向上を図ります。経済産業省が日本国内にある企業の情報を公開していたり、米国NASAが人工衛星から取得した計測データを配布したりしているのが、代表例です。

 

需要に基づいたプラットフォーム

情報が爆発的に増えた現代では、どれが優れた商品であるかを整理する事業者の役割が重要になっています。セレクトショップのように優れた商品をカタログ化するだけで、ユーザー側にとっては利便性が飛躍的に高まります。Gunosyなどのキュレーションサイトと呼ばれるメディアでは、人気を集めるコンテンツを集約し、面白い情報だけを提供する仕組みを開発しました。また、口コミサイトが人気を集めているのも、ユーザーにとって不要な選択肢を削り、意思決定プロセスの簡略化が行えるからです。「ここを見れば全てが分かる」という安心感がプラットフォームの価値を決定します。

 

供給に基づいたプラットフォーム

サービス提供者が顧客開拓を行う場合、実績が少なかったり、営業活動に避ける予算・人材が足りなかったりすると、仲介者に頼る必要が出てきます。サービス提供者とユーザーのマッチングを行うのは、オンラインサービスの得意な分野です。

ランサーズ、クラウドワークスといったWebサービスは、サービスを提供するフリーランス・個人事業主と、小口の仕事を依頼した企業をマッチングする仕組みを提供しています。個人事業主は企業へ売り込みをかけたり、契約処理を行ったりするのが難しいため、仲介者の存在がビジネス拡大に寄与します。一方で、企業側も、バラバラに存在するサービス提供者の中から求める人材像に合致し、稼働可能なサービス提供者を見つけられるため、サービスを利用するメリットがあります。

 

オープンソース

ソフトウェアがオープンソースとして配布されるようになり、ソフトウェア業界は大きく発展しました。基本的なプログラムは誰にでも必要なものなので、それぞれが同じ機能を開発するのではなく、いったん作成した機能を公開し、全員でメンテナンスを行う方が、業界全体として効率化が図れるからです。特許などで利用を制限してきたのに対し、極めて緩い制限によって業界の発展を優先しています。GoogleやFacebookといった大手IT企業は、積極的にオープンソースを公開して業界に貢献した上で、補修作業をコミュニティに任せたり、優秀な人材をオープンソースの活動から見つけたりと、戦略的に活用しています。

オープンソースは専用のライセンスを策定し、提供されるのが一般的です。クリエイティブ・コモンズと呼ばれる業界標準のライセンス体系も提案されているので、知的財産の専門家と共に、オープンソースの活用を考えると良いでしょう。

 

広告・スポンサーシップ

ユーザーに対して無料、または安価で製品を提供する代わりに、他のスポンサーから資金援助を受けるビジネスモデルです。オンラインメディアで無料の記事が読めるのは、広告を表示し、収益を確保しているからです。

現在は広告にも様々な種類があります。フォーマットの観点からは、文字・画像・動画・音声などが挙げられます。また、他の文章と似た形態ながら、特定の商品・ブランドの宣伝を行う記事広告もあります。スマートフォンによって利用者の位置が正確に把握できるようになった現在では、場所に特化して地域の広告を配信できるようになりました。

広告ビジネスにおいて最も重要なのは、ユーザーの興味と広告主が提供する商品を上手にマッチングさせる点です。興味がない広告を見せられてもユーザーは離れるだけですし、広告主にとっても出稿するメリットがありません。そのため、ユーザーの行動に連動して広告の内容を変化させる手法が発展してきました。検索エンジンの検索連動広告が代表例と言えます。その他にも、スキルを登録させて求人広告を提示するなど、ユーザーからの情報提供を上手く引き出すビジネスモデルが考案されてきました。

他のビジネスモデルと組み合わせてスポンサーシップが行われる場合もあります。音楽配信サービスのSpotifyは無料版と有料版を提供するフリーミアムモデルを採用しています。無料版の場合は短い音声広告が入るため、広告主から収益を確保するスポンサーシップのモデルとも考えられます。

広告はユーザーから嫌われやすいため、広告の内容とユーザーの興味が合致するよう留意する必要があります。関係のない広告を提示するメディアは、ユーザーから敬遠され、広告プロッカーによって強制的に非表示にされてしまう場合もあります。興味深いコンテンツとユーザーを誘導し、それに関連した広告を表示すれば、広告がクリックされる確率が高まります。ユーザー、メディア、広告主の3者全てにメリットが生じるものです。

広告自体が魅力的であれば、スポンサーシップの効果はより強力になります。LINEの企業スタンプは、企業のブランド認知を高める企業広告であるものの、それ自体が面白いため、ユーザーにとって積極的にやり取りされます。オンラインメディアでは無視されている広告も、スタンプになれば、ユーザーは好んで閲覧し、友人へシェアするのです。広告主にとってもブランド認知の向上に寄与し、ユーザーは楽しみを感じ、メディアは収益を手にするというWin-win-winの関係が完成します。

 

「カミソリと替え刃」の仕組みを備えたインフラ

「カミソリと替え刃」はジレット社が始めたと言われる古典的なビジネスモデルです。刃を交換可能なカミソリを安価で提供した上で、その補完的な製品である替え刃に比較的高い値付けを行い、最終的な収益を確保する手法です。カミソリを安価で提供するため、見かけのコストが安く思えるため、より多くのユーザーを確保し、継続して利用すればするほど、企業の利益につながる構図です。「プリンターとインク」など、同様のビジネスモデルを持った例は数多く存在します。

情報系のビジネスモデルでも同様の仕組みが構築可能です。AWSなどの従量課金制のビジネスモデルでは、プラットフォーム自体が「カミソリ」となり、コンピュータ資源を使えば使う程「替え刃」にお金を費やすことになります。

 

OEM開発

開発したソフトウェアを他社のブランドのもとで再販させ収益を得るビジネスモデルです。開発力はあるものの、販売力にかけるベンチャー企業などの場合、販売網を持った大企業と協業して利益の確保を図ります。汎用的な機能であれば、多くのユーザーが確保できるため、少ない投資で多くの売り上げへとつなげる戦略的な手法です。

Eコマース

店舗を持った小売店とEコマース・サイトの違いとは何でしょうか?一つには、Eコマースの場合、売り場や倉庫といった物理的制約が存在しない点が挙げられます。小売店の場合、売り場が限られているため、売れ筋商品に絞った品揃えにし、また、次々と新商品を投入して、購買意欲をかきたてる施策が欠かせません。Eコマースの場合、売り場に限りがなく、無数の商品点数が用意できます。売れ行きが悪くても、多くの種類の商品が売れれば、相応の収益が確保できるのです。

オンライン上ではデジタル商品の販売が活発です。これまでは10曲揃えたCDアルバムを売っていた音楽業界も、iTunesのようにダウンロードを中心としたビジネスモデルの場合、1曲ずつ販売しても流通コストが増加しません。何部売ってもコストがほとんど増えないデジタル商品販売は、高い利益率が期待できるのです。

オンライン販売では、誰が何を買ったかが正確に把握できるため、使った分だけ支払うという従量課金制が簡単に実現できます。シェアリングエコノミーで見られるビジネスモデルは、商品を購入して所有するよりも、必要なときに必要なだけ使用し、使った分だけ利用料金を納めます。利用者にとっては、不要なコストを抑えられ、予算の最適化が図れるのがメリットです。

Eコマースでは、販売促進の手法も巧妙になっています。Eコマースサイト上での購買履歴や行動履歴に基づき、一度買った人にだけ割り引きをするといったリアル店舗では難しいキャンペーンも実現可能です。また、グルーポンのように、集団で購入予約をする代わりに割り引きを提供するクーポンを開発し、購買意欲を高めた例もあります。短時間だけ有効な「フラッシュセール」という販促手法もあります。

C2C、マーケットプレイス

消費者同士が取り引きを行い、運営会社がその仲介を行うのがC2Cのビジネスモデルです。メルカリなどが代表例として知られています。ソーシャルメディアが普及し、ユーザー同士が情報交換するのが当然となり、お互いの信頼関係を担保できるインフラが整いつつあります。お互いの信頼関係が確認できれば、初めて出会う消費者同士でも、お金と商品のやり取りが迅速にできるようになります。

マーケットプレイス型のビジネスモデルは、運営会社にとって魅力的です。自社では在庫を抱える必要がなく、商品を生産するコストもないからです。しかし、魅力的な「場」を作り上げなければ、すぐにユーザーは離れてしまいます。特に、ビジネスを開始した初期は、ユーザーの数が少ないため、重要と供給がマッチしずらく、取り引きが活発に行われません。マーケットプレイスを充実させるための施策を十分に練ってから取り組む必要があります。

モノのやり取りだけではなく、お金の貸し借りもユーザー同士で行われるようになっています。ソーシャル・レンディングという仕組みは、貸したい人と借りたい人のマッチングを行います。需要と供給を引き合わせて取り引きを活発化させた上で、手数料を取るというビジネスモデルはあらゆるモノ・サービスに適用できるので、多くの企業が取り組んできました。

手数料

銀行の送金手数料、電話の通話料など、取り引きのたびに都度課金するビジネスモデルは、頻繁に使われています。オンライン上の事業でも、Paypalのようなオンライン課金システムは手数料に頼っています。決済のように誰もが必要とする機能の場合、手数料を支払ってでも利用したいとうユーザーがいるため、このビジネスモデルが合致します。

手数料が割高だとユーザーが感じてしまうと、取り引きが控えられてしまい、新たなビジネスモデルの勃興を招いてしまいます。電話は無料通話ができるSkypeに置き換えられたり、銀行送金は割安に送金できる仮想通貨ビットコインの脅威に脅かされたりしています。継続して儲けられる手数料収入に胡坐をかかず、ユーザー体験を見直す施策が求められています。

サブスクリプション(定期購読型)

デジタル商品を取り扱う場合、膨大な商品を扱ってもコストが増加しないため、品揃えが豊富になる傾向にあります。Netflixの映画、Spotifyの音楽など、一人のユーザーが使いきれない程、多くの商品が存在します。ユーザーにとっては、その都度、料金を支払うよりも、定期購読にしてしまったほうが、取り引きが簡素化されます。新聞の定期購読が一般化したように、日常的に使うものほど、サブスクリプションにする意味があります。

事業者にとっては、売り上げが安定するため、サブスクリプションにするメリットは大きいと言えるでしょう。利用者が頻繁に使っても、使わなくても、同様に収益が確保できるため、事業運営が安定します。デジタル商品の場合、利用回数が増えてもコストが比例して増えないので、コスト増加のリスクはありません。

Amazonプライムのような定額で特定のサービスが受けられるサブスクリプション型ビジネスモデルが開発されました。ソフトウェア・アズ・サービス(SaaS)、インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス(IaaS)というように、定期購入モデルによってサービスとして提供されるデジタル商品は増えています。

モバイル

パソコン上で行われていた事業も、モバイルを中心にして違った体験が構築できる場合もあります。Foursquareのように訪問地をレビューするアプリは、スマートフォンを持ったユーザーがいる場所に基づいてユーザーの挙動を設計しています。面白い場所に行き、今すぐ誰かに伝えたいというユーザーの想いを上手く利用しているのです。

オンラインで訪問したユーザーをオフラインの店舗へ誘導するのも、モバイルを前提とした取り組みです。サイトを訪問したユーザーに割り引きクーポンを発行して、スマートフォンへダウンロードさせ、店舗で提示する仕組みが考えられるでしょう。

逆に、オフラインで獲得したユーザーをオンラインへと誘導するアイデアもあります。店舗で興味のある商品を見つけたユーザーが、その商品価格を比較したり、レビューを見たりしたいと感じる場面は多々あります。その場合、スマートフォンで情報が取得できれば、商品購入に至る確率が高まります。

エフェメラル(その場限り)

Snapchatは一定期間経過すると投稿した写真や動画が消えるという特徴を持っています。Instagramもストーリーという機能を導入し、24時間しか閲覧できない動画を掲載し、人気を集めています。期間限定の仕組みは「エフェメラル(その場限り)」と呼ばれ、情報系のビジネスモデルに特有のものです。

ユーザーが投稿するビジネスモデルの場合、ユーザーが参加する敷居を極力下げるのが重要です。すぐに消えると分かっていれば、恥ずかしい画像・動画であっても、気軽に投稿できるでしょう。時間や場所、文脈に依存した内容も、たくさん投稿されるようになります。そのユニークな内容がコンテンツの魅力を高めるのに役立ちます。

閲覧する人にとっても、すぐに消えてしまうコンテンツは希少性が高まり、今すぐに見てみたいという欲求が高ぶります。友人の「今」を見逃したくないという思いがあるため、エフェメラルなアプリの利用頻度が高まるのです。

エフェメラルなビジネスモデルは広告とも相性が良いでしょう。時間帯や地域に合わせて、特定の広告を配信すれば、より興味が惹けるようになります。また、Eコマースを行う場合でも、期間限定のキャンペーンが消費者の購買意欲を高めるため、エフェメラルなビジネスモデルが有効です。

ゲーム

時代と共にゲームのビジネスモデルも変化があります。以前は据え置き機を購入してテレビで行うものだったのが、パソコンやスマートフォンでゲームができるようになっています。また、一人でゲームを行うものから、多人数が協力して操作できるような内容も増えています。また、買い切り型のソフトだけではなく、定額で一定期間楽しめるサブスクリプション型のビジネスモデルも生まれました。

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