嵐とSMAPに見るキャリア観の違い。パラレルキャリアを体現する「アイドル界の本田圭祐」は生まれるか

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2018年10月に東洋経済オンラインで掲載された「本田圭佑と中田英寿が映すキャリア観の変化」はサッカーファンである私にとって興味深いものでした。カズに憧れ、中田英寿を追いかけ、本田圭祐に刺激を受け、私も海外でのキャリアを築いてきたところがあります。サッカー界のスター選手のキャリア観は、その時代を体現している側面があります。そして、先日の嵐、以前のSMAPの活動休止は、それらと呼応している点が見受けられます。

 

サッカー界のスター選手に見るキャリア観の変遷

1986年生まれの本田圭祐選手は、現代の「パラレルキャリア」を体現しています。オーストラリアのクラブでプレーするサッカー選手でありながら、カンボジア代表の実質的監督をつとめ、さらには、ベンチャー企業へ出資する投資家でもあります。その他にも、本人は教育者を名乗ったり、国際機関と連携したりと、様々な顔を持ちます。兼業・副業が流行する現代を象徴する人物です。グローバル志向であり、居住国へのこだわりよりも、世界全体をより良くすることに興味を抱いているように見えます。ワーク・アズ・ライフの世界観を持ち、複数の仕事からビジョンを実現するキャリア観です。

およそ10歳年上のスター選手、中田英寿氏は日本代表の中心選手だった29歳のときの引退宣言が驚きを持って受け取られました。その後自分の人生を見つめ直す旅人になった後、日本の文化を世界に広めるため、日本酒の会社を運営しています。1986年生まれの中田氏は、現在の30代40代に見られるような、転職が当たり前になったキャリアチェンジ時代を象徴していたのかもしれません。ワーク・ライフ・バランスを重視する世代と言えます。

さらに、10年前には1967年生まれのレジェンド、三浦知良選手がいます。50歳を過ぎても現役を続けるキング・カズは尊敬をもって見られています。1960年~1970年代生まれはバブルからバブル崩壊を体験する世代であり、その上の世代の終身雇用を見てキャリアを築いています。若い頃はワーカホリック的な働きをしていた世代は転職も一般的ではありませんでした。「半沢直樹」のように企業を移るのは「島流し」のように映る場合もあります。

ワーク・ライフ・バランスを選んだ中田英寿と嵐

嵐の活動休止会見は大きな話題となりました。大野君が自由な時間をとって、やりたいことを探したいというのは、サッカー界でいうところの中田英寿世代の考え方に似ていると感じたものです。No1アイドルという立場は、日本を背負うような大きな仕事が多く、コンサートやCD販売は100億円近い売り上げに達すると言われます。プライベートがなく、1年先までスケジュールが決まってしまう職業で、ワークライフ・バランスを取りたいというのは自然な流れかもしれません。最近は安室奈美恵さんなど、第一線の芸能人の引退が続いています。

一方で、嵐の会見と共に再び注目されたのがSMAPの会見です。生放送でメンバー全員が騒動を謝罪させられたのに対し、嵐の会見は和やかでよかったとの声が見受けられます。SMAPが体験したのは、カズ世代のキャリア観だったのかもしれません。一生現役が良いものとされ、「転職」は裏切り者のような扱いを受けます。一世代前のキャリア観が悪い形で出てしまったのだろうかと思いました。

芸能界の未来は、パラレルキャリアを体現できる人材にかかっている

サッカー界とアイドル界を比較して思うのは、これから「アイドル界の本田圭祐」は生まれるのか、という点です。ジャニーズにも、多くの次世代スターがデビューしています。彼らが、本田圭祐のようなパラレルキャリアを志向し、実現したときに、新たなキャリア観が生まれるのかもしれません。歌手や役者といった枠にとらわれず、ビジネスや社会貢献を手掛けるグローバル志向のアイドルがいたら、ワクワクしませんか?

前述のカズ、中田英寿、本田圭祐はおよそ10歳ずつ離れており、その時代のキャリア観をよく現しています。さらに、10歳下を取り上げると、現在の日本代表には、1998年生まれの堂安律選手を筆頭に、若手選手が台頭してきています。サッカーの世界での活躍はもちろん、その世代を代表するキャリアの築き方にも期待したいと思います。

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