プロダクトマネジメントは、顧客のニーズを理解し、それに対応するソリューションを定義して、製品の継続的な成功を実現するための手法です。日本ではプロダクトマネージャーを置いている企業が多くないので、その手法を学ぶ機会が限られてしまいます。オフライン、オンラインの研修の機会を紹介します。
プロダクトマネジメントは理論よりも実践が重要な分野であるため、経験に基づいて解説できる専門家の存在が重要です。書籍やオンラインのリソースを使って頭では理解していたとしても、実際に業務で使ってみると、どのようにしたら良いか分からない場合があるかもしれません。そのような場合に、セミナーを介して、専門家の生の声を聞くと、実践的な学びが得られるでしょう。講座によっては、講師や生徒同士で交流する機会が得られるケースもあるので、対話を通じて学んでいくことも可能です。
プロダクトマネジメントのセミナーを選択する際の観点としては、講師の経歴や解説される内容、セミナーの形式、(場合によっては)プラットフォームの仕組みなどが挙げられます。それぞれ、信頼できる情報であること、自身の興味や目的に合致していることを十分に確認するようにしましょう。
プロダクトマネジメントを学ぶ際には、実際のシナリオやケーススタディを通じて学習すると効果が高まります。学んだ理論を実践に活かすため、安全ではあるものの、実務に近い環境で試すと、即戦力として活躍できるようになるでしょう。
セミナーによっては公式の受講証明書を発行してくれるものがあります。このような経験は履歴書や職務経歴書に記載できる場合があるので、プロダクトマネージャーへの昇進・転職を検討している場合は、能力・意欲をアピールできる実績としてセミナーを受講するのも良い考えです。
PMが知っておきたい「プロダクトマネジメント」の視点
日本のシステム開発プロジェクトでは、品質やスケジュールに責任を持つプロジェクトマネージャーが、製品仕様の定義にも責任を持ち、プロダクトマネジメント的な役割を担うケースが多々あります。そのようなケースに役立てるよう、プロジェクトマネージャーがプロダクトマネジメントの視点を持てるよう助けるのが、このセミナーです。
プロダクトマネジメントとプロジェクトマネジメントの違い、プロダクトマネージャーの役割、プロダクトマネージャーに必要なスキルなどが解説されます。定額制で受講できる社員研修制度SEカレッジからの提供です。
プロダクトマネジメント入門講座:作るなら最初から世界を目指せ!シリコンバレー流Product Management
シリコンバレーでプロダクトマネジメントの経験を積んだ講師がオンラインセミナーを公開しています。米国スタートアップの基準で実施されているプロダクトマネジメントの基礎が学べる貴重なコンテンツです。プロダクトマネジメントの仕事とは何か、アジャイルソフトウェア開発プロセス、プロダクトマネージャーが生きる組織、キャリアパス等が学べます。講師のTwitter(@haruki_sonehara)をフォローしてDMを送ると、割り引きクーポンが発行いただけるという特典が付いています。
プロダクトマネジメント入門講座:作るなら最初から世界を目指せ!シリコンバレー流Product Management:Udemyで開く
プロダクトマネジメント実践講座: シリコンバレーの現役プロダクトマネージャーが伝授する、世界の最前線で使われるKPI
前述した講座の続編として、KPIを取り上げた実践講座も公開されています。プロダクトマネジメントでは、製品がどのように顧客から利用されているのかを定量的に評価するためKPI(重要業績評価指標)の設定および監視が重要なステップとなります。誤ったKPIを設定してしまうと、実装する製品機能やビジネス上の戦略立案において、意思決定も誤ってしまうからです。North Starメトリック、既存顧客維持、ユーザー離脱、A/Bテスト等が学べます。
プロダクトマネジメント実践講座: シリコンバレーの現役プロダクトマネージャーが伝授する、世界の最前線で使われるKPI:Udemyで開く
Digital Product Management: Modern Fundamentals
英語のコンテンツになりますが、米国のバージニア大学で開催されている講座が無料で公開されています。週に3~4時間を4週間かけると、まるで大学の講座を受けているような体験が得られるのが魅力です。
デジタル製品のプロダクトマネジメントについて、方法論や新製品開発のアイデア、既存製品の改善といったテーマを深く学ぶことができます。また、米国でプロダクトマネジメントを実践している人のインタビューもあり、最先端の体験談も含まれています。
講義資料やスクリプトがダウンロードできるので、英語の勉強としても使えるかもしれません。英語で大学の講義を理解できるようになれば、TOEICもTOEFLも良い成績が得られるでしょう。試験をパスすれば、有料でコース認定証の発行も可能です。
まとめ
プロダクトマネジメントは、最近広まってきた手法であるため、講師を務められるような経験者がそれほど多くないのかもしれません。オンライン、オフラインの中から最適なコンテンツを見つけて、体型的に学べるようにしましょう。無料の資料や、書籍から学ぶ方法もあります。一つのセミナーを受講すれば、そこで参照されていた情報に広げて学習を深めていくことが可能です。ソフトスキルを含めた総合的な技術であるプロダクトマネジメントは、プロとしてのキャリアアップにも良い影響を及ぼすことが期待されます。
プロダクトマネジメントは、実践的なスキルであるので、自分だったらどうするか、自分はどのような意見を言えるかという視点で学習を進めることが推奨されます。セミナーを受ける場合でも、積極的に質問したり、Q&Aセッションを活用したりして、インタラクティブな環境を作ると、より良い情報が得られると考えられます。
プロダクトマネジメント不在のまま、製品・サービスを開発し、問題を抱えてしまう事例も見受けられました。優先順位付けができず、売り上げが十分に得られる前に、コストが過剰にかかってしまう。ユーザー中心の考えがなく、不要な機能ばかり作りこんでしまう。セキュリティなどの重要な非機能要件が見過ごされ、サービス停止に追い込まれる。プロダクト・マーケット・フィットが見いだせない。ロードマップが描けず、あったとしても実現できない。規模を拡大する際に、技術的な問題が発生する。問題が社外にも知れ渡った結果、ブランドの毀損、信頼の失墜につながる。以上のように、枚挙に暇がありません。
プロダクトマネジメントのスキルは、様々な場面で活用できます。例えば、エンジニアからプロダクトマネージャーへのキャリアアップを叶えてくれるかもしれません。自分の興味がある分野で、自社サービスを開発・運用している会社へ転職し、プロダクトマネジメントのスキルを発揮できれば理想的ではないでしょうか。また、コーディングの経験があまりないビジネス側の担当者が、プロダクトマネジメントのスキルを習得すれば、製品・サービス開発を促進し、エンジニアとの会話も円滑になるかもしれません。他にも、独立してWebサービスなどを開発するといったキャリアも考えられます。