プロダクトマネジメント はWhat、プロジェクトマネジメントはHowに責任を持つところに違いがある

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CTOの視点

プロダクトマネジメントとプロジェクトマネジメントは、関連する役割で、かつ似た単語を使っているため、混同してしまう人も多いでしょう。プロダクトマネジメントは、「What」何の機能を作るのか、「Why」なぜその機能を作るのかを明らかにします。一方、プロジェクトマネジメントは「How」どのように「When」いつ作るのかに責任を持ちます。その責任範囲の違いから、役割は区別されます。

プロダクトマネジメントは、ユーザー・開発者・ビジネスの満足を追求する

プロダクトは、何らかの問題を解決し、ユーザーのニーズを満たすものです。プロダクトは初めに市場へリリースされてから、バージョンアップを繰り返し、製品提供をやめるまで、そのライフサイクルは続きます。プロダクトマネジメントは、ある製品についてDesirability(望ましさ。ユーザーのニーズ)、Feasibility(技術的な実現可能性)、Viability(経済的妥当性。収益性)を追求する手法です。ユーザー・技術・ビジネスの三方が全て満足できるよう、実装するべき機能と、その優先順位づけを行います。

プロダクトマネージャーは、製品開発の戦略に責任を持ちます。ビジョンやロードマップといった概要レベルでの製品計画を作成するのが、その役割です。具体的には、ユーザーと会話して要件を収集する、製品にまつわる課題や機会を特定する、実装する製品機能の順位付けを行う、といった作業に携わります。

プロダクトマネージャーが追求するべき指標(KPI)は、製品の成功そのものです。アプリを開発しているのであれば、アクティブユーザー数や離脱率がKPIとなるでしょう。これらのKPIが改善するよう、新たな機能を追加したり、重要な機能を優先的に開発したりするのがプロダクトマネジメントです。

プロジェクトマネジメントは、スコープ・予算・スケジュールをやり繰りする

プロジェクトは、ある「始まり」と「終わり」のある期間で、特定のタスクを遂行するものです。その期間で実施するべき作業が明確に定義されます。プロジェクトマネジメントは、スコープ・コスト・スケジュールの3つのトレードオフを管理する分野です。たとえば、開発するスコープが広がれば、人員を増やしてコスト増加を認めるか、スケジュールを延期するかしなければ、プロジェクトの品質は保たれません。利害関係者が納得するよう3要素を満足させるのがプロジェクトの成功です。

プロジェクトマネージャーは、計画の遂行に責任を持ちます。概要レベルの計画を、開発者が実施できるまで細分化し、実行可能な計画に落とし込みます。作業の見積もりと要員の割り振りにより、定められたリリース日にタスクを完了するよう努めます。リスクや課題の管理、必要に応じてスコープを変更するのも、プロジェクトマネージャーの重要な役割です。

プロジェクトマネージャーの評価指標(KPI)は、チームの効率性に対する評価を使うのが一般的です。一つの作業を完了させるまでのサイクルタイムや、定められた期間で実装できた機能の量(ベロシティ)といった指標を用いると、定量的に効率性が評価できます。

プロダクトマネジメントとプロジェクトマネジメントが混同される理由

プロダクトマネジメントと、プロジェクトマネジメントで共通しているのは、そこで求められているスキルです。異なる利害関係者とコミュニケーションをとり、また、目標達成のためにリーダーシップをとる、というのは共通しているものです。また、時間管理を徹底し、定められた期限に作業を完了させるという点も同様です。

プロダクトマネジメントとプロジェクトマネジメントが混同されやすいのは、似たような成果物を作成するからかもしれません。プロダクトマネジメントでは、概要レベルでのロードマップを作成し、1年~1年半程度の製品開発計画を作成する場合があります。一方、プロジェクトマネジメントでは、詳細レベルのタスクをガントチャートに落とし込み、誰がいつ何をやるのかを明確にします。

プロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーを兼務している際のリスク

企業によってはプロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーが兼務されている場合があります。何を作るのかを定義するところから、それをいつ、どのように作るかまで責任を持つ開発チームのリーダーは少なくありません。

実際、それらを遂行するためのスキルは全く異なるので、問題が発生するリスクがあります。プロダクトマネージャーは市場を最も理解し、顧客の代弁者となるべき存在です。一方で、プロジェクトマネージャーは開発プロセスをよく理解し、何にどの程度の時間が見積もれる人材でなければなりません。

社外に興味を向けるプロダクトマネージャーと、社内を管理するプロジェクトマネージャーは、その利害が衝突するケースがあります。プロダクトマネージャーにとってはユーザーの満足度を高める機能であっても、プロジェクトマネージャーにとっては予算を超過してしまい、実装が難しい機能かもしれません。利害の反する役割を、同じ人間が遂行するのは極めて困難です。

まとめ

プロダクトマネジメントは、何の製品機能を作るのかを決めるのに責任を持ちます。ユーザー・開発者・ビジネスを満足させるのが、その役割です。一方、プロジェクトマネジメントは、限られたスコープ・予算・スケジュールをやり繰りします。

プロダクトマネジメントとプロジェクトマネジメントは、似たような成果物を作ったり、同じ人間が兼務していたりして、混同されてしまう場合があります。実際は、求められるスキルが全く異なり、利害が衝突するケースさえあるものです。その違いを正しく理解し、その役割に適したスキルを磨けるよう、努めていきましょう。

プロダクトマネジメント入門講座:作るなら最初から世界を目指せ!シリコンバレー流Product Management

プロダクトマネジメント入門講座:作るなら最初から世界を目指せ!シリコンバレー流Product Management

テクノロジーの聖地シリコンバレーからPMの仕事や魅力とキャリアの可能性を、在住13年以上、現在米系スタートアップで働く現役Principal Product Managerが具体的事例をもとに紐解きます。

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