プロダクトマネージャーに求められるスキルとジョブ・ディスクリプション

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CTOの視点

プロダクトマネージャーは「ジェネラリスト」であることが求められます。技術・ユーザー・ビジネスに携わる利害関係者に、製品ビジョンを伝え、製品を作りあげるという役割から、全ての分野について基礎的な知識を身に着ける必要があるからです。また、コミュニケーションやリーダーシップを含め、優れたソフトスキルも欠かせません。プロダクトマネージャーのジョブ・ディスクリプション(職務記述書)を通して、その役割と要件を理解していきましょう。

ハードスキルの観点では、関連する技術や市場調査の経験が求められる

「ジェネラリスト」として必要な幅広い知識と経験

プロダクトマネージャーは様々な部門の橋渡し役を担います。そのため、開発・デザイン・マーケティング・財務など、どの部門の担当者とも会話できるような基礎的な知識が求められる場面があります。それぞれについて、極めて優秀な専門家である必要はありませんが、共通認識を持って、部門間の調整に当たる必要があります。特に、開発に関して、見積もりが甘すぎる・厳しすぎるといった意見は、その人の感覚や経験に頼り勝ちです。リスクの高い部分を特定できるようなスキルを持っている人は優れたプロダクトマネジャーになり得ます。

最近はオンラインコースを使って、無料または安価に、それぞれの領域について学ぶことができます。学位としてのMBAは必ずしも必要ではありませんが、企業経営を薄く広く知っていると、プロダクトマネジメントの仕事に役立ちます。

最新のトレンドや技術に対する理解

優れたプロダクトマネージャーは、業界に関連するトレンドや技術について敏感なものです。ユーザーや市場の変化に敏感になり、競合他社の動きに追随していく必要があります。AIや5Gといった大きなトレンドはもとより、変化の激しいモバイル開発・フロントエンド開発といった分野でも、その概要程度はつかんでいないと、各部署の担当者と会話し、適切な意思決定が行えません。

トレンドの把握には、技術関連のブログやニュースレターの購読が推奨されます。Techcrunch、ProductHunt、VentureBeatといったニュースサイトに加え、ProductPlanのニュースレターは優れたコンテンツを掲載しています。

ロードマップやユースケースを作成するのに必要な思考力と分析力

プロダクトマネージャーが作成する成果物を考えると、それに求められるスキルが自ずと明らかになります。ロードマップを作成するには、関連するタスクを洗い出し、優先順位をつけて、計画を立てる力が求められるでしょう。異なる部署間で認識を合わせるには、求められる機能やユースケースを文章や図で表現し、それを伝達する必要があるので、ライティングやプレゼンテーションの経験も欠かせません。また、製品やユーザーの行動を把握する指標を管理・改善する場合や、プロダクトの収益性を計る際に、数字を扱うため、計算に強い人はプロダクトマネジメントに有利でしょう。

ソフトスキルの観点では、リーダーシップやコミュニケーション力が必要

製品のあるべき姿を示すビジョナリー

プロダクトマネジメントは、製品の「あるべき姿」を描きます。ユーザーが抱える課題に対して最適な解決策を提示し、製品に関するビジョンを示すのです。スティーブ・ジョブスやジェフ・ベゾスといった起業家は、この点に関して圧倒的だと言えるでしょう。その製品ビジョンに関して、利害関係者を巻き込み、成果につなげていくのがプロダクトマネージャーの役割です。

異なる部門をまたがってチームをまとめるコミュニケーション

多くの利害関係者と関わる性質上、優れたプロダクトマネージャーは対人スキルに秀でています。傾聴、交渉、調整、権限委譲といったコミュニケーションにまつわる、あらゆるスキルを使う場面が発生するからです。興味や働き方の異なる部門をまたがり、製品の成功という一つの目標に向けてまとめていくリーダーシップが求められます。

戦略に秀で、製品開発や時間管理において、最適な手段を講じる

不確実な状況で最適な選択が一意に決まらない状況では、勝つ確率を高めるために複数の手段を講じて、より良い方法を模索していかなければなりません。市場や技術、競合他社が変化していく状況では、プロダクトマネージャーは常に、このような戦略的思考を行う必要に迫られています。成果物を作るだけでは十分ではなく、プロダクトの成功という成果にコミットするのがプロダクトマネージャーです。

多くの仕事を抱えるプロダクトマネージャーは、時間の使い方についても戦略的です。自分が成果を発揮できる作業や、重要な仕事に時間をさき、そうでないものは優先順位を下げて、仕事を調整していきます。

プロダクトマネージャーのジョブ・ディスクリプション

欧米では雇用する際に、ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)を定義して、その人の役割を明確にするのが一般的です。典型的なプロダクトマネージャーのジョブ・ディスクリプションから、その役割を見てみましょう。

以下がプロダクトマネージャーの雛形であり、大きく2つの章から構成されます。

プロダクトマネージャーの責任と役割

  • ユーザー体験を深く理解し、プロダクトの問題や機会を特定する
  • シェアを伸ばし、ユーザー体験を改善する新しいアイデアを考案する
  • 製品のビジョンに関し、社内で共通理解をつくり、重要な社外のパートナーと共有する
  • 価格とポジショニングに関して戦略を立案する
  • プロダクト戦略を、具体的な要件やプロトタイプに落とし込む
  • ビジネス面での貢献を勘案し、製品開発の優先順位をつける
  • 開発チームと協業して、市場に出すまでの期間やリソース配分を最適化する
  • PRチームや経営層と協業し、製品リリースを計画する
  • マーケティングチームと協業し、製品ビジョンが効果的に顧客へ伝わるよう、プロモーション計画を支援する
  • QA(品質保証)チームと協業し、テスト計画を支援する
  • 製品の認知度や理解を深まるよう、「エバンジェリスト」として活動する
  • 顧客の声を収集し、製品やサービスに関するフィードバックを受ける

プロダクトマネージャーに求められる要件

  • プロダクトマネージャーとしての経験(年数は求人のレベルに応じて変わる)
  • 製品開発ライフサイクルの各局面における経験
  • 製品やマーケティングの戦略を立案し、経営層へ伝えた経験
  • ソフトウェア開発のハンズオン経験
  • 情報科学や、それに類する学位
  • アジャイル手法に関する深い理解
  • コミュニケーション、プレゼンテーション、リーダーシップスキル
  • 時間管理のスキル
  • 分析と問題解決のスキル
  • 創造性。細部へのこだわり

まとめ

プロダクトマネージャーに求められるスキルを見ていくと、何でもできる「天才」のように見えるかもしれません。確かに、幅広いハードスキル・ソフトスキルが求められますが、重要なのはユーザーを理解し、製品開発をリードする点です。詳細な部分は専門家へ権限委譲し、何でもやろうと思わないことも重要になってきます。プロダクトマネージャーを目指す人は、それに関連するオンラインコースを受けたり、業界のニュースを分析して自分の意見を持つようにしたりして、その役割を担う準備をするようにしましょう。

プロダクトマネジメント入門講座:作るなら最初から世界を目指せ!シリコンバレー流Product Management

テクノロジーの聖地シリコンバレーからPMの仕事や魅力とキャリアの可能性を、在住13年以上、現在米系スタートアップで働く現役Principal Product Managerが具体的事例をもとに紐解きます。

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