海外企業や留学先で50以上の国から来た人たちと働く中で、異なる文化に適応し、働く力について考えるようになりました。グローバル人材とは英語を駆使して高度な仕事をする偉大な人といった印象がありますが、グローバルなビジネス環境では、その意味合いも少しずつ変わってきているように感じています。
海外企業で働くということ〜多文化力・グローバル力とは?をテーマに、日本時間2019年12月20日(金)にオンライントークイベントが行われ、スピーカーとして登壇しました。その中の一つのトピックとして、多文化力・グローバル力が取り上げられています。
最近、私は「インターナショナル・ビジネスとグローバル・ビジネスの違い」について考えています。インターナショナルは「国をまたぐ」といった意味を持つことから分かる通り、2国間の国際化が前提です。日本企業がアメリカ市場へ進出する、アメリカ企業が日本市場へビジネスを展開する、といった例が挙げられます。自動車やハードウェアを伴う産業で目立つケースで、輸出入が求められる事業で多く見られます。このような文脈では、日本人がアメリカ人に馴染むにはどうすればよいか、駐在と現地採用がどのように協業するか、といった会話がよく現れます。
近年はグローバルなビジネスが増加しています。「Globe」が地球を意味するように、地球全体をビジネス対象にするのが、グローバル・ビジネスです。Netflixのようなデジタルサービスが顕著であり、インターネット・サービスに国境はありません。顧客は190か国以上にまたがり、生産者も多くの国にあります。企業理念も、一つの国を繁栄させるものではなく、地球全体をより良いものにしたいという決意が表れています。
自分の会社でも、20か国以上から集まった仲間で構成され、会議となれば、各人が別の国から来ているというケースも珍しくありません。このようなグローバルな環境では、日本人がアメリカ人に馴染むといった議論はなされません。スペイン在住でも、スペイン人になる必要はないのです。日本人がスペイン人になってしまっては、わざわざ日本人を雇う意味がなく、ローカルなスペイン人を雇った方がよいと言えるでしょう。
日本人の強みは、プロ意識の高さにあると思います。約束を守る、時間を守る、分からないことは聞く。このような態度は、世界のどこでも望ましいとされる一方で、日本人のような高い意識が保てるのは珍しいことです。学校教育や、会社に入って間もない時期に身に着ける行動特性が、世界では高く評価されます。また、アメリカ人であれば人前で話すのが得意といったように、各文化でそれぞれ強みがあるものです。グローバルなビジネスでは、異なる文化から来た人が、強みと弱みを認識し、強みを生かせるようなチーム作りが求められます。日本人は日本人らしさを残しながら、グローバルなチームで力を発揮していくべきです。