Shopifyの競合比較(BASE、Stores.jp)と、マーケットプレイス(楽天、Amazon)との併用戦略について考える

※当サイトではアフィリエイト広告を利用しています。

情報システム

ECサイトにかかわる環境は変化してきています。これまでは自社でサーバーを用意してシステム開発をする必要がありましたが、近年は、ShopifyやBASEを始めとするサービスを使う「所有から利用」の流れが顕著です。また、楽天やAmazonに代表されるマーケットプレイスへの出品に加え、Instagram等のSNSがEコマースへ参入してきました。ECサイトの運営者には、賢いIT戦略が求められています。

経済産業省が2019年に発表した「2018年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」では、B2C市場は約18兆円、前年比8.96%、そして、B2B市場では約344兆円、前年比8.1%と報告されました。成長するEコマース市場のチャンスをつかむため、多くの企業や個人事業主がECサイトの作成に取り組んでいます。専業のEC事業者、副業を含めた個人事業主、 BtoC向け商店の経営者、 自社商材のオンライン直販に乗り出す企業など、EC事業を簡単に開始・運営できるニーズは増しています。

Eコマースを開発・運営するための選択肢

オープンソース型のソフトウェア

Eコマースを新たに参入しようと思った場合、何から始めればよいでしょうか?従来は、自社でシステム開発を行う以外に方法はなく、Eコマースに強みを持つ制作会社に依頼するケースが多く見られました。基本的な機能はどの会社でも共通しているため、パッケージ化された仕組みが使われています。具体的には、EC-CUBE、Magento、Drupal等が人気を集めてきました。特に、EC-CUBEは2006年の発表以来、2万店以上で採用され、その自由度の高さが魅力となっています。

一方で、自社でシステムを管理するのは手間がかかり、IT部門の人手不足・スキル不足の問題や、セキュリティの担保といった課題が指摘されるようになりました。そのため、近年は、クラウドサービスへの移行が進んでいます。

クラウド型のサービス

クラウドサービスでは、月額課金をするだけで、すぐにでもECサイトの運営が行えるのが利点です。商品や在庫の情報を登録すれば、決済などの設定を行うだけなので、IT部門への負担は極めて少ないものになります。世界最大のECサイト制作プラットフォームであるShopifyはその豊富な機能と使いやすさで人気を集めています。また、日本ではBASEやSTORES.JPといったサービスが知られています。

マーケットプレイス型のECモール

Eコマースを行う上で、マーケットプレイス(あるいは、モール)と呼ばれる業態は無視できません。楽天やAmazonがその代表例で、膨大なユーザーを有するプラットフォームで集客のチャネルが持てるのは魅力的です。マーケットプレイスに登録するだけで、自社が出品するページを持てるので、すぐにEコマースを始めるのに向いています。

マーケットプレイス型の問題点は、自社ブランドが確立できない点にあります。消費者からすると、楽天やAmazonで買い物をする上で、どのネットショップから買っているのかを意識する場面は多くありません。ユーザー体験が共通しているのはメリットではありますが、EC事業者が消費者と結びつきを強めて、固定客を獲得していくのには不利な側面があるのです。

Eコマースを開発・運営するのに推奨される戦略

Eコマースが成長する中、自社ブランドの確立は重要な経営課題です。「www.ecsite.co.jp」というように自社のドメイン名でECサイトを運営する直販サイトは欠かせないものです。ECサイトの仕組み自体は差別化要因にならないので、自社開発するよりも、クラウド型のサービスを利用する方が合理的と言えるでしょう。

直販サイトを持っていても、マーケットプレイス型のプラットフォームに出店するのは、問題ありません。自社サイトでブランドを確立して既存顧客との関係を深めながら、楽天やAmazonで新規顧客の獲得を目指す戦略が推奨されます。さらに、近年は、InstagramがEコマース機能を追加するなど、SNSのEC化が進んでいます。SNSを含めたマルチチャネル化はビジネスの成長につながります。

クラウド型のサービスを選択し、マルチチャネルのビジネスを展開するために求められる要件と推奨されるサービスについて、次章は議論していきます。

クラウド型サービスの比較

Shopify(ショッピファイ)

カナダ発のECサイト制作プラットフォームShopify(ショッピファイ)ですが、英語圏ではデファクト・スタンダードとも言えるほど、急激な成長を見せています。これほどの人気を得た理由としては、シンプルながら必要な機能が揃っているからです。デザイン・テンプレート、商品登録、決済、SEO対策、カゴ落ち防止、SNS連携など、現代のECサイト運営に求められるものが提供されています。越境ECや多言語対応などの要件にも対応しており、「アプリ」を導入すれば、補完的な機能を追加することもできます。

BASE

日本国内ではBASE(ベイス)が人気です。何と言っても無料でネットショップを開設できる点が魅力であり、メールアドレスを登録するだけで出店できてしまうのが人気の理由と言えます。運用にかかわる費用が安いからといって機能が欠けているわけではなく、デザインや決済といった最低限の機能は網羅されています。

STORES.jp

もう一つ、国内で人気のサービスとしてSTORES.jp(ストアズ・ドット・ジェーピー)が挙げられます。無料プランと有料プランが用意されているため、無料プランで機能を試してから、有料プランへと更新する方法がとれます。ただし、商品数の制限や決済手数料の違いから、現実的には有料プランで運用するケースが多いように見受けられます。ファッションアプリ「WEAR」との連携など、日本独自の要件に対応した興味深い機能が魅力です。

クラウド型サービスを比較・選択するための考え方

機能面を比較してみると、本格的にEC事業を運用していきたいと思う程、Shopifyの優位性が際立っていきます。例えば、サイトデザインに用いるテンプレートは100種類以上あり、10種類前後しかないBASEやSTORES.JPを大幅に上回ります。カスタマイズをしなくても、ユニークなデザインが実装できることを意味しています。その他にも、決済手段が多い、決済手数料が多い、アプリによって機能拡張が容易といった点が魅力です。

推奨される戦略としては、Shopifyを用いて独自ドメインのECサイトを確立した上で、自社サイト・ブログ・Instagram・Facebook・Twitterなどのチャネルと連携し、ビジネスを拡大していくのが良いでしょう。加えて、楽天やAmazonのマーケットプレイス型のサービスを使って、集客を行えば、柔軟なマーケティング戦略が立案できます。

まとめ

Shopifyは「所有から利用」へのトレンドをつかみ、ECサイト制作においてデファクト・スタンダードとしての地位を確立しつつあります。その多機能性、拡張性、そして手数料の安さから、本格的にECサイトを運営したい企業は、Shopifyを選択する理由があります。楽天やAmazonといったマーケットプレイス型のサービスとは競合するわけではなく、どちらも併用しながら、新たな顧客獲得のチャネルを築いていく戦略が考えられます。

タイトルとURLをコピーしました