ShopifyでECサイトを開発する上で、どのくらいカスタマイズができるのか、自社の要件に合う機能が用意されているかは気になるところです。2019年2月時点で175か国にサービスを展開し、導入店舗は82万店舗している人気から推察すると、多くの要件には対応していると考えて差し支えありません。
Shopifyでカスタマイズできる部分とは
Shopifyはクラウド上で利用できるECサイト開発プラットフォームなので、管理画面から設定をするだけで、基本的な機能は全て利用できます。プログラミングを行わなくても、ロゴ画像の設定、背景・テキスト・ボタンなどの色指定、見出しや本文のフォント、フォントサイズ、要素の表示・非表示、ドメイン名などの設定変更が行えます。
Shopifyの強みは「テーマ」が豊富に備わっている点にあります。テーマ、あるいはテンプレートと呼ばれる同機能は、画面の構成やデザインを一括で設定するものです。サイト全体が統一したデザインになるため、見やすく、使いやすいサイトを作成できます。公式サイトには72ものテーマがあり、個性的なデザインが適用可能です。無料・有料のテーマに加え、サードパーティの開発者が制作したテーマがあり、いわゆるベストプラクティスが含まれている高品質なデザインが実現できます。
テーマを変更しても十分ではない場合、プログラミングを通して、Shopifyの仕様を変更する方法もあります。テーマ、メニュー、検索エンジンやSNSでの表示、通知、製品ページ、値引きオファーなどがカスタマイズできる部分になっています。カスタマイズするには、HTML、CSS、JavaScriptの技術に精通したエンジニアが求められます。さらに、Shopifyが独自に開発したオープンソースのテンプレート・エンジンLiquidを学習する必要があります。
Shopifyをカスタマイズする前に考慮するべきこと
カスタマイズしたいという要望は、サイトに独自のデザインを施したいというニーズから来る場合が多いでしょう。しかし、ユーザーは個性的だけど使いにくいデザインは求めていません。むしろ、見慣れたデザインの方が使いやすさを感じ、購入に至る可能性も高くなります。アマゾンや楽天に親しんだユーザーは、それに準じた構成・プロセスを好むのです。Shopifyは既に、ECサイトのベストプラクティスを含んでいます。ある時点で機能が不足しているテーマでも、そのテーマがバージョンアップして、不足していた機能が充足される場合もあります。そのため、テーマ変更は問題ありませんが、プログラミングをしてまでカスタマイズするほどのメリットはあまりないものです。
Shopifyは独自の技術Liquidを採用するなど、そのカスタマイズは簡単ではありません。コストに見合ったパフォーマンスを得るには、相応の考慮をする必要があります。Shopifyのようなクラウド型の仕組みでは、技術面はサービス提供者に任せ、ユーザーは、そのコンテンツに集中する方が効率的です。デザインのカスタマイズを除いても、どのようなコンテンツを用意するのか、マーケティング施策を展開するのか、広告やSNSをどう運用するか等、検討するべきことは多々あります。限られた人員と予算でShopifyを運営する場合、システム面はShopifyに委託し、自社はより戦略的な部分に特化したほうが良いのではないでしょうか。
Shopifyに機能を追加する「アプリ」
Shopifyで機能を追加する場合、カスタマイズするよりも、アプリを導入すれば要望が叶えられるケースもあります。Shopifyのアプリは、スマートフォンのアプリと同様、サードパーティが開発した機能を付加するもので、自社でプログラミングしなくても、クリック一つで導入が可能です。アクセス分析、メール、セキュリティ、SEO、配送、顧客の声など、様々な分野でアプリが開発されました。以下に、人気アプリの例を紹介します。
Bold Product Optionsは、製品ページのカスタマイズを可能にするアプリです。ドロップダウン、チェックボックス、ファイルアップロードなど、多くのオプションが備わっています。プレミアム版では、条件付きで表示を変えるなどの高機能が利用できます。
Tidio Live Chatは、ECサイトにチャット画面を追加し、リアルタイムの顧客サポートを提供します。疑問を抱いたサイト訪問者にリアルタイムで解決策を提示できれば、不安を解消し、購入へ至る可能性も高まります。自動応答できるボットも含まれるので、効率的なサポートプロセスが導入可能です。
まとめ
Shopifyは管理画面の設定だけで、ECサイトの様々な要素が変更できる点が、世界中の多くの企業から採用されてきた理由の一つです。特に、豊富に用意されたテーマを適用すれば、ベストプラクティスを含んだデザインが簡単に導入可能で、一貫性の取れたサイトが作成できます。技術的には、さらなるカスタマイズも可能ですが、一般的には、極力、プログラミングを伴うカスタマイズは避け、ECサイトの運営者は、より戦略的な部分やコンテンツへ注力するのが推奨されます。