2021年に注目するべきスタートアップとビジネスモデルの動向【B2C編】

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ビジネスモデル解説

2020年はコロナ禍を受けて、スタートアップ界隈も大きな変化を見せました。デジタルサービスが躍進したのに加え、コロナ後を見据えたIPOも見受けられます。2021年も、オフラインの非効率な手続きをデジタル化する動きが進んでいくでしょう。スタートアップのビジネスモデル分析に関する連載を持つ筆者が、2021年に注目するべき動向を分析します。

2020年に注目されたロビンフッド族

2020年はフィンテック・ベンチャー企業のロビンフッドが多数のユーザーを獲得し、注目を集めました。手軽に投資を始められるアプリとしてミレニアル世代から人気を博し、そのユーザー層は「ロビンフッド族」とも呼ばれるようになり、金融市場の動きにさえ影響を与えています。

ロビンフッドがターゲットとしているのは、「HENRY (High Earner, Not Rich Yet)」だと言われています。30代前半から年収10万ドル以上を得るようになったミレニアル世代を指し、高い可処分所得から消費を牽引する世代でもあります。リタイアできる程ではないものの、自由に使えるお金が多いのが特徴です。コロナ禍によって外出が制限される中、旅行や買い物への出費が少なくなったため、余剰資金で投資を始めたい人たちのニーズにロビンフッドが応えたのでしょう。

コロナ禍によって拡大する格差も影響があります。コロナの経済的影響を受けるのは、宿泊・飲食・娯楽といった業種が主であり、その中でも、非正規社員などの雇用が深刻です。一方で、これらの業種に属さない、かつ、比較的、大きな規模の企業で働く正社員は、これまで通り、同様の給与を受けています。HENRYに分類される若者も、影響が少なく、貯蓄や消費を続け、さらに投資を始めているものと考えられます。

ミレニアル世代の行動パターンとしては、やはりデジタルが基本です。Amazonの買い物体験に代表されるように、Webやアプリでボタンをクリックするだけで購入が完結するような流れが当然となっています。これまで手続きが煩雑だった投資のような分野でも、膨大な書類に目を通し、サインや印鑑を押すようなプロセスは避けられるのです。ロビンフッドのアプリが人気を集めたのは、このような背景があるのではないでしょうか。

2021年に伸びそうなデジタルサービス

2021年以降も、これまで煩雑な手続きが当然だった業界のデジタル化が進んでいくと予想されます。特に、お金を持ったミレニアル世代がオンラインでの消費行動をとる際に、簡単に手続きが完了できるようなサービスが好まれるでしょう。

例えば、レモネード社は契約から保険金の支払いまで、Webやアプリで完結するようにした「インシュアテック」ベンチャー企業です。チャットボットを介した自動応答により、ユーザーの満足度向上と、顧客サポートにまつわるコスト削減を同時に実現します。また、人工知能を使ったリスク分析や保険プランの価格設定を用いている点から、AIが発展した現代にこそ実現できるビジネスモデルと言えます。ソフトバンクグループも投資するレモネード社は、若者からの支持を受け、大きな成長が期待されます。

デジタル化による効率化の余地がある業界とは、他に何が考えられるでしょうか。不動産や自動車など、様々なものが該当し、ミレニアル世代がお金を費やす可能性があります。人工知能はここ数年、注目されていますが、実際は、紙やFAXを使った手続きがまだまだ残っており、人工知能が適用できる状態でない点も、コロナ禍が明らかにしてしまいました。デジタル化がが社会に影響を与えるのは、これからだと言えるかもしれません。

デジタルトランスフォーメーションは、バズワードのように扱われていますが、実際、このようなデジタル化は必要とされています。デジタル化は、以下の3段階があると言われています。

  • デジタイゼーション:アナログの情報をデータ化する。
  • デジタライゼーション:デジタルツールにより業務プロセスを最適化
  • デジタルトランスフォーメーション:デジタル中心のビジネスモデルを構築

スタートアップのビジネスモデルを考える上では、既存のデジタル化されていない手続きを見出し、その手続きをデジタル化したビジネスモデルへと改革することが重要です。さらに、「Convenience is king」と言われるケースもある通り、便利で簡単に扱えるサービスが人気を得られるようになっています。デジタルを前提としたユーザー体験が鍵となるでしょう。

デジタル化と、それに紐づく人工知能による分析が可能になったのは現代ならではです。保険の手続きが自動化できるのも、自然言語処理や画像分析といった分野で人工知能の技術が使われています。今まさに注目される分野と考えられる理由です。

まとめ

2020年は、ロビンフッドに代表されるように、可処分所得の多い若者へ、従来の煩雑な手続きを省略できるデジタルサービスを提供するベンチャー企業が注目を集めました。2021年も、この傾向は続き、保険・不動産・自動車といった煩雑な手続きを要する分野で、人工知能を活用し、ユーザー体験を最適化して簡便性を高めたデジタルサービスが伸びていくと予想されます。

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