世界的なIT企業であるIBMのCEOジニー・ロメッティは、自身の経験に基づいて、女性のキャリアについて「居心地の良さと成長は共存しない」と述べました。(参照)同じ仕事を続けていれば居心地は良いかもしれませんが、自らの成長は期待できません。海外就職のように挑戦的なキャリアを築くにはストレスを感じる場合もあるでしょう。海外就職には無視できないデメリットもあるのです。
シリーズ前回の記事は「海外就職をするメリットとは何か – 海外就職シリーズ (3)」
業種・職種によっては職を見つけるのが難しい
海外で働くデメリットの一つに、業種・職種の選択肢の狭さがあげられます。ビザ・スキル・語学力といった壁を越えて就職するのは狭き門なので、必ずしも憧れの職業にはじめから就けるわけではありません。例えば、営業職は、現地の商習慣や現地の言葉、ネットワークが必要になります。海外で営業職につくには、それらを挽回するだけの何かを示さなければ、就職するのは困難です。また、日本では課長・主任レベルの経験があっても、平社員から始めなければいけないケースもあるかもしれません。その場合は、日本で働く場合より給与が下がってしまうことになるでしょう。
家族みんなが現地に適応できるとは限らない
人によっては、家族の問題がデメリットになる可能性があります。自分が海外で働きたくても、家族の同意が得られなければ生活を続けることはできません。例えば、大学院のある同級生はロシアから家族を連れてきていました。しかし、奥さんがスペインの生活に合わなかったため、彼は大学院を中退して、ロシアに帰っていきました。また、同伴しなかったとしても、他の家族や親戚と会うのは簡単ではなくなります。病気などの緊急事態の際に駆けつけることは困難です。
異なる言語や文化で力を発揮できるか
最も大きなデメリットとなりうるのは、言語と文化の違いでしょう。見知らぬ土地で暮らすのは、それ相応のストレスになります。例えば、私はそれなりに英語を学んでいきましたが、アメリカのドーナツ屋さんのスタッフの英語が全く聞き取れず、少し落ち込みました。語学のレベルによっては、さらにストレスを感じることが多くなるでしょう。同様に、食習慣の違いも大きなストレスになりえます。米や魚が一般的でない土地では、日本食があまり口にできないかもしれません。また、天気の違いもあります。イギリスなどは雨・曇りの日が多いため、気分が滅入る人もいます。言語と文化の違いを克服するスキルを身に着ける必要があるでしょう。
シリーズ次回の記事は「CAGEフレームワークに基づいた、海外就職しやすい条件 – 海外就職シリーズ(5)」