海外での就職は長期戦です。現地での実績がない外国人がはじめから理想の求人から内定をもらえるわけではありません。終身雇用ではないので、昇進だけでなく、転職を繰り返すことで、よりよい雇用条件を手にしていきます。
シリーズ前回の記事は「海外就職に臨む際に必要な自己分析の方法 – 海外就職シリーズ (12)」
終身雇用ではない海外企業でキャリアを築くには
海外で就職する場合、はじめの就職では給与などの面が理想的でないこともあります。語学を含めたスキルに実績がない場合は、たとえ日本で実績を積んでいても、高く評価されないことがあるからです。また、仕事の内容の点で理想的でないケースもあります。
転職には業界・職種・地域の3つの軸があり、それら全てを同時に変えることはできません。しかし、理想の仕事がこれまでとは異なる業界・職種である場合、はじめの就職では、地域だけを変更し、2回目の就職で業界や職種を変えるという戦略をとることになります。
採用は縁です。同じ会社に同じ人間が応募しても、そのときのビジネス状況によって、採用される場合とされない場合があります。大きな仕事を受注した、新しく資金調達した、といったイベントがある場合には、雇用を増やすこともあるでしょう。また、採用担当者との相性といった側面もあります。
私の場合、ある会社では、面接の他に実技試験を課されることがありました。そのときは丁寧に文書を記載することで、実務的な面を高く評価してもらうことができました。一方、別の会社では、実技試験はなく、面接のみで、経営戦略や人材管理の話題が多く上りました。結果的には、その会社からは実務的ではないと評価され、選考から落とされました。採用に至るには、様々な要因があるため、短期的に一喜一憂せず、長期的な成功を目指すのが良いでしょう。
マシュマロテストに見る長期的に成功する人の条件
長期的な成功を得るには、自制の心が欠かせません。子供の頃の自制心と将来の社会における成功の関連について、興味深い研究があります。マシュマロテストと呼ばれる社会実験です。
「将来のより大きな成果のために、自己の衝動や感情をコントロールし、目先の欲求を辛抱する能力」と「社会における成功」に関連があることを明らかにしました。この実験の被験者は就学前の児童です。まず、気が散るようなものが何もない部屋に通され、マシュマロが一個載った皿が与えられます。その子供を案内した実験者は、15分間部屋を空けます。子供はその15分の間に、マシュマロを食べなければ、その後、二つのマシュマロを食べることができます。途中で我慢できず、マシュマロを食べてしまえば、二つ目はもらえません。実験では3分の1ほどの子供が、マシュマロを食べるのを我慢することができました。
興味深いことに、その後の追跡調査では、その実験で示された自制心の差は、十数年後も継続しているというものでした。マシュマロを我慢できた子供たちは、そうでなかった子供たちに比べて、より優秀と評価され、テストの成績も高いという結果が出ました。この実験は「人間行動に関する、最も成功した実験のうちの1つ」と評されています。
海外就職のステップアップでも、自制の心は欠かせません。1回目の就職は、希望通りではなく、給与も低いものかもしれません。それはまだ、1つ目のマシュマロをお預けされている状態です。そこで海外就職を諦めてしまえば、長期的な目標を達することはできません。2つ目のマシュマロが来るまで、じっと待つ人のみが、長い目でみて、成功を得ることができます。キャリアのステップアップを信じて、取り組むのが吉です。
シリーズ次回の記事は「リクナビがない!海外で就職先を探すには – 海外就職シリーズ (14)」