ALSアイス・バケツ・チャレンジが病因遺伝子の特定に貢献

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2014年の夏、アイス・バケツ・チャレンジが世界を席巻しました。ソーシャルメディアは著名人が氷水を頭からかぶる動画であふれましたが、本来の目的はALS(筋萎縮性側索硬化症)の研究開発に対する寄付です。あれから2年が経過し、このチャリティ活動が実を結びました。ALSの進行に関与する遺伝子が特定されたのです。

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マサチューセッツ州医科大学のジョン・ランダース博士が率いる研究チームは、NEK1と呼ばれる遺伝子の変異がALSを進行させるという研究結果を専門誌Nature Geneticsで発表しました。この研究はアイス・バケツ・チャレンジを通して寄付を集めたALS協会から資金援助を受けています。ALSとは、運動に関する脳や脊髄の神経細胞が変性したり、死滅したりすることによって引き起こされる病気です。ALS協会によると米国では毎日15人の患者がALSの診断を受け、3万の人々が闘病中だと言います。

 

MinEと呼ばれた国際的プロジェクトはALSの遺伝子的影響を理解することを目的としていました。そこで取られた手法は、ALSと診断された1022人の遺伝子と、そうでない7315人の遺伝子を全て計測するというものです。結果として、NEK1遺伝子の変性とALS発症の関連を見出し、その変性の増加が病気の進行を引き起こすことを突き止めました。

 

ALS協会の研究者は、この発見はアイス・バケツ・チャレンジが無ければ成し得なかったと述べます。

アイス・バケツ・チャレンジによってALS協会はプロジェクトMinEへの投資が可能になりました。そして、大規模なALSの生体試料のデータベースを構築し、このような研究とその成果が上げられたのです。

アイス・バケツ・チャレンジが当時、大きな批判も浴びていた事実を踏まえると、上記のニュースは喜ばしいものと言えるでしょう。1億1500万ドルの寄付を集めながらも、寄付することなく自分の自尊心を満たすだけの行為を生み出しただけだと言われたものです。さらに、ALS協会は73%の寄付を研究開発に使っていないというデマさえも回っていました。

 

一方で、この発見は、既に知られている遺伝子に関する追実験であり、特別大きなブレイクスルーではなかったとの報道もあります。科学報道の難しさと共に、ALS研究の今後にも注目が集まりました。

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