2018年7月9日更新:ノートからKindleへ移行しました。AmazonのWebサイトからKindle版をお求めください。
Webサービスやベンチャー企業ではアジャイル手法が一般的になりました。さらに、大企業や規制業界でもアジャイル手法がソフトウェア開発に活用される傾向にあります。ビジネス環境の変化が速くなっている点や、ユーザーとの対話を通して最適なソリューションを設計できるメリットが注目されています。
私は医療ITベンチャーでプロジェクトマネージャーやコンプライアンス担当としてソフトウェア開発を主導する中で、数多くの知見を得てきました。特に、米国FDAのPart 11やISO13485(医療機器向けの品質管理システム)への対応を行う中で、規制要件に対応するアジャイル手法を適用しています。具体的には、リスク評価をプロジェクトや機能単位に組み込むのが、規制要件を満たす鍵となることが分かりました。
リスク評価を組み入れたアジャイル手法に関して、まとめた電子書籍として「アジャイル開発とリスク評価 – 規制に耐えうる高品質なソフトウェアを目指して」を発行しました。以下が目次となります。
- 品質を担保するためにアジャイルが求められる理由
- アジャイル開発の効果
- 規制業界におけるアジャイル事例
- リスク評価を中心としたアジャイル開発
- リスク管理を伴った文書化と開発ステップ
- まとめ
アジャイル開発では文書化の問題をよく耳にします。動作するプログラムが重要視されるアジャイル手法において、文書化は軽視されがちだからです。文書を多く書き過ぎると、無駄な手間が生じやすいし、少なすぎても情報共有が進まないと考えられます。本書ではリスクの高い要件については文書を作成・更新し、リスクの低い要件では極力文書化を避ける方法を提案しています。リスクを中心とした優先順位付けにより、高い品質を保ちながら、柔軟性を維持できると考えます。