「会社は学校じゃねぇんだよ」が好きすぎてインフルエンサー事業のビジネスモデルを解説してみた

※当サイトではアフィリエイト広告を利用しています。

ビジネスモデル解説

Abema TVのドラマ「会社は学校じゃねぇんだよ」が話題です。ドラマ冒頭に流れる、サイバーエージェント藤田晋社長の「仕事に熱狂する全ての若者に捧ぐ」というメッセージにある通り、起業にまつわる熱い物語がリアルに描かれています。筆者個人としては、半ば強引に決め台詞に持っていくところが時代劇のようで大好きです。同ドラマで繰り返し出てくるのが「インフルエンサー事業」。実際、インフルエンサー事業とは、どのようなビジネスモデルなのでしょうか。

流行が「リアル」に感じられるのは、検索エンジンよりも、友人や有名人とつながったSNS

口コミは、いつの時代も購買意欲をかきたてます。友人や憧れの有名人がおススメした商品を買いたくなるのは自然な流れではないでしょうか。最近は、ソーシャルメディアの発展により、お気に入りの商品や場所を、写真や動画で紹介するのが一般的になったので、友人同士お互いに消費を喚起する機会が増えています。中でも、フォロワーを多く持ち、その人たちに影響を及ぼす人は「インフルエンサー」と呼ばれています。

 

インフルエンサーがお気に入りとして紹介した商品は、そのフォロワーから購入される可能性が高くなります。そのため、商品を販売する企業としては、広告媒体として取り上げて欲しいと考えるようになりました。これが、インフルエンサーを介した販売促進、いわゆる「インフルエンサーマーケティング」です。

 

「Googleは使わない。リアルじゃない」2016年にモデルのGENKINGさんが語った言葉は企業のマーケティング担当者に衝撃を与えました。Google検索はSEO(検索エンジン最適化)が盛んに行われているため、例えば、あるファッション・アイテムを検索したとすると、上位に表示されるのは、予算をかけて上手にSEO対策を施した企業の商品です。仲間うちで流行している商品が現れるわけではありません。

 

その点、ソーシャルメディア、特にInstagramの場合、自分が好むインフルエンサーだけをフォロワーしていれば、その界隈で流行している商品に触れることができます。最近のソーシャルメディアユーザーでは、自分とつながっている人たちで流行っているものが「リアル」なのです。

 

吉本興行や集英社も参入した、SNS上の有名人によって販売促進を行うインフルエンサー事業

インフルエンサー事業は、商品を販売促進したい企業が、インフルエンサーに広告代を支払い、ソーシャルメディア等でプロモーションを代行してもらうビジネスモデルです。膨大な情報に埋もれているユーザーは、押しつけがましい広告よりも、自分が好きなインフルエンサーに紹介してもらった方がその商品を受け入れやすくなるメリットがあります。

 

企業側は、例えば、フォロワー数一人当たり換算で報酬を支払います。商品を自然に使っているようなコンテンツを掲載してもらい、ブランド認知を高め、商品購入へ促します。「やらせ」と思われないよう、広告である旨を明記するところに注意が必要です。

 

インフルエンサー事業を行っている企業として有名なのは、macaroniなどのキュレーションメディアと連携してInstagramキャンペーンを実施するトレンダーズや、HIKAKINを始めとするYouTuberとタイアップして企業の商品を紹介するUUUM株式会社等が挙げられます。(参考:インフルエンサーマーケティング 注目の11サービスまとめ

 

さらに、吉本興業はお笑い芸人をインフルエンサーとしてマーケティング活動を行っており、日本最多のフォロワー数を誇る渡辺直美さんを始め、強力な人材を有しています。また、「Seventeen」や「non-no」を発行する集英社は、専属モデル・スタイリスト・読者モデルをインフルエンサーとして、マーケティング事業を開始しました。

 

著名なインフルエンサーからマイクロインフルエンサーへと細分化する市場

ある調査では、全世界のインフルエンサーマーケティング市場は、2018年の63億ドルから、2020年の100億ドルへと急激な成長が見込まれています。特にInstagramだけでも2018年の時点で16億ドルが費やされると予測されました。

 

インフルエンサーマーケティングが流行するにつれて、インフルエンサーの多様化が進んでいます。これまでは、フォロワーが10万人から100万人に上る芸能人やモデル・タレントが中心となっていました。一方で、特定の分野で強みを発揮する1000人から1万人程度の「マイクロインフルエンサー」にも注目が集まっています。

 

例えば、テレビには出たことがなくても、人気のカリスマ美容師は数千人のフォロワーを集められるかもしれません。カリスマ美容師が化粧品やファッション・アイテムを紹介すれば、フォロワーに強い印象を与えられます。ドラマ「会社は学校じゃねぇんだよ」でも、普通に渋谷を歩いている若者や、専属契約できない若いモデルがインフルエンサーとして登場しています。

 

著名なインフルエンサーからマイクロインフルエンサーへと注目が移っている背景には、マーケティング施策の目的がより精緻化されている点が挙げられます。より多くのフォロワーに届くよう「リーチ」を優先していれば、ブランド認知や自社サイトへの流入数がKPIとなり、著名インフルエンサーとの協業が理にかなっています。しかし、リーチを図るのであれば、他の媒体への有料広告でも代替できるので、インフルエンサーマーケティングの旨味を活かしているとは言えません。

 

インフルエンサーマーケティングでは、成約率(コンバージョン率)が重要とされます。フォロワーの量よりも質を重視し、ニッチな層で確実に売り上げにつなげられるようなキャンペーンが好まれるのです。この場合、フォロワーとより濃密な関係が築けるマイクロインフルエンサーに軍配が上がります。

 

「素人っぽさ」で人気になったインフルエンサーが「プロ化」したときに何を訴求するか?

インフルエンサーマーケティングの課題は、やはり「やらせ」の雰囲気が出てしまう点です。そもそもマスメディアよりもインフルエンサーが好まれたのは、素人が自然に商品を紹介している点です。それがインフルエンサーが頻繁に販売促進活動をするようになると、素人が広告塔のように見えてしまい、素人らしさが消えてしまいます。目につきやすいコンテンツの作り方を極めるほど、従来のマス広告に近づいてしまうのです。「結局、お金もらって紹介しているのね」と見透かされてしまうと、インフルエンサーマーケティングが成立しません。

 

ユーザーは、広告が出るべきではないところで広告を目にすると拒否反応を起こす傾向にあります。オンラインの新聞記事を読んでいるときに、ポップアップ広告がせりあがってきたら、画面を閉じてしまうこともあるでしょう。一方で、商品を買いたいと思っているときに広告を提示されると、進んで財布の紐を緩めてくれるケースもあります。テレビショッピングを喜んで見る人たちは、広告を見たくて仕方ないのです。

 

そこで、インフルエンサーマーケティングは、始めから販売促進を行う場へと進化しつつあります。具体的には、インフルエンサーが生放送で商品紹介を行う動画を配信する「ライブコマース」という分野が立ち上がってきました。中国では2時間で3億円を売り上げたという事例があるほど盛り上がっています。

 

日本でも、Live Shop!、PinQulというサービスが開始された他、メルカリ(メルカリチャネル)やSHOWROOMもライブコマースに参入しています。インフルエンサーとの双方向性があるやり取りを通して、臨場感・高揚感・希少性をユーザーに与えます。2018年はライブコマースが大きく発展する年になるかもしれません。

 

まとめ

Abema TVのドラマ「会社は学校じゃねぇんだよ」で取り上げられているインフルエンサー事業は、数千人から100万人を超えるフォロワーを有するソーシャルメディア上の有名人を通して、販売促進を行うビジネスモデルです。生配信を通して物販を行う「ライブコマース」が立ち上がるなど、素早い変革・進化が期待される分野と言えます。エンターテイメント性を追求し、ユーザーに飽きられないような取り組みを常に展開していく必要があるので、マーケティングに情熱を持つ人にとっては、最も刺激的な業界なのではないでしょうか。

 

タイトルとURLをコピーしました