なぜビジネスモデルが企業の競争力を左右するようになったのか。

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ビジネスモデル解説

ビジネスモデルとは非常に抽象的な言葉です。実態があるわけではなく、また、適切な日本語訳も存在しません。そのため、人によって定義が異なるのが現状です。簡潔に言うと「利益を生み出す仕組み」とでも言えばよいのでしょうか。どのように価値を創出し、誰から収益を得るのかがビジネスモデルと言えばよいのかもしれません。

ビジネスモデルとは何か

僕は自分の学生寮でFacebookを開発して、学生寮のパソコンからローンチしたんだ。月に85ドルのサーバーを借りて、広告費を取ってそれをまかなった。つまり未だに、寮の時代からビジネスモデルは全く変わっていないんだよ

Facebook CEO マーク・ザッカーバーグ

経営学者の國領二郎は、ビジネスモデルを以下の四つの課題に対するビジネスの設計思想として定義しています。

  • 誰に、どんな価値を提供するか
  • その価値をどのように提供するか
  • 提供するにあたって必要な経営資源をいかなる誘因のもとに集めるか
  • 提供した価値に対してどのような収益モデルで対価を得るか

誰に、何を、どのように価値を提供するかが新規事業構築の鍵となるのです。

ビジネスモデルを考える意味

ビジネスモデルが注目されるようになった背景として、昨今の事業構造が複雑になった点が挙げられます。トヨタやソニーが好調だったは、ビジネスモデルが比較的単純であり、製造した自動車や精密機器を販売するという構造をとっていました。しかし、情報系の事業が中心になるにつれ、複雑さを増してきました。

アップルはどのように収益を確保しているのでしょうか。iPhoneやiPadといったモバイル機器の販売が売り上げの多くを占めています。それに加え、iTunesによる音楽や映像の販売、Apple storeからアプリの手数料販売といったものもあります。モノを売り切って終わりではなく、それに付随するサービスからも収益を得る構造になっているのです。

アマゾンはさらに複雑です。Eコマースサイトが有名ですが、利益の観点で見ると、Eコマースから得られる利益はほとんどありません。アマゾンが利益を得ているのは、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)という従量課金制のクラウドサービスです。消費者として利用しているだけでは、誰にどのようなサービスを提供して、どのように利益を確保しているのかが明らかではないのです。

GoogleやFacebookを無料で利用できるのは、広告主がお金を支払っているからです。SpotifyやEvernoteでは機能が限定された無料ユーザーと、付加機能が利用できる有料ユーザーが存在します。お金がどこから出ていき、どこから入っていくのか、その流れを意識してみることがビジネスモデルを考える上で必要になります。

ビジネスモデルが確立していない事業は継続的な事業運営が行えません。10万円の売り上げを獲得するために、20万円のコストが必要になってしまえば、事業を継続する意味がないでしょう。B2B向けの製品開発を行うのであれば、品質管理や顧客サポートを手厚くしなければ相手にされません。若者向けの商品を売るのに、若者が利用していないメディアを販路に選んでは、売れるものも売れません。製造から販売まで、全ての工程が一貫して調和がとれている状態が、ビジネスモデルが確立した段階と呼べるのです。

新規事業を構築する際には、ビジネスモデルの検討が有効です。初めは「思いつき」と呼べるようなアイデアでも、儲ける仕組みを検討する中で、誰に何をどのように提供するかが明らかになっていきます。また、共同創業者や従業員、投資家と会話する間でも、ビジネスモデルを中心に会話をすれば、お互いの認識に齟齬が生じにくくなり、建設的な会話が行えるようになるでしょう。

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