マーケティングの歴史に名を刻む、おススメ書籍7選

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経営戦略・イノベーション

マーケティングは消費者の認識の変化や、新技術の登場等によって、ここ数十年の間に、様々な理論が提唱されてきました。マーケティングを行う上で、時代が共に変わるものもあれば、すぐに移り変わるものもあるでしょう。その中でも歴史に名を刻んだといっても過言ではない重要な書籍を紹介します。

ドリルを売るには穴を売れ

「人々が欲しいのは1/4インチ・ドリルではない。彼らは1/4インチの穴が欲しいのだ」顧客が求める価値は何かを改めて考えさせてくれる、マーケティングの権威が語った言葉です。モノを売る側(ドリル)の視点で売り込みをかけてしまいがちですが、実際は買う側の視点で本当に欲しがっているもの(穴)を提供しなければ、商売は成り立ちません。例えば、喫茶店が売っているのはコーヒーなのか、憩いの場なのか、といった視点を持てるようにすると、マーケティングへの理解につながります。

この有名な言葉をタイトルに据えた本書は、マーケティングの基本をおさえてくれる教科書のような存在です。顧客にとっての価値(ベネフィット)は何か、商売する相手を絞り込むセグメンテーションとターゲティング、魅力を最大化するための差別化、そして、価値を届ける方法を網羅した4P(製品、価格、チャネル、販売促進)が解説されています。MBAで学べるマーケティングと、基本的には同じ内容と言えるでしょう。

T.レビット マーケティング論

前述の「ドリルと穴」の例を広めたのは、実はハーバード・ビジネススクール教授のセオドア・レビット博士です。1968年に発売した「マーケティング発想法」が出典とされています。顧客がモノを買うための本質を解説しました。

セオドア・レビットが寄稿した論文をまとめたのが「T.レビット マーケティング論」になります。実務向けというよりは学術的な側面が強くなっていますが、その世界観を知るには貴重な一冊です。

コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則

セオドア・レビットと共にマーケティングの大家として知られるのがフィリップ・コトラーです。STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)を始めとするマーケティング理論を体系化し、その発展に大きく寄与しました。コトラー氏が教授を務めたケロッグ・ビジネススクールが「マーケティングに強い」と評価されるのは、同氏の影響が大きいとされます。

コトラーは古典だけではなく、最近の著書でもマーケティング界に大きな影響を与えており、「マーケティング3.0」は代表作の一つです。モノを作れば売れる製品機能が中心だった「1.0」、顧客満足を高め競争を打ち勝つ消費者志向の「2.0」を経て、共感・協働・共創といった価値観の共有を中心に据える「3.0」の時代へ移ってきたと主張しています。2010年に発売された本書ですが、ソーシャルメディアが普及してユーザーの参加が当然になり、ブランドの構築・維持が競争力を左右する昨今、マーケティング3.0を意識する重要性は変わらないままです。

さらに、シェアリングエコノミーやコンテンツ・マーケティングといった新しい潮流を取り込んだ「コトラーのマーケティング4.0」も2017年に発刊されています。

キャズム Ver.2 増補改訂版 新商品をブレイクさせる「超」マーケティング理論

1991年に発売された「キャズム」はハイテク製品のマーケティングにおけるバイブルとなりました。技術マーケティングや新規事業開発に携わる人にとっては、誰もが知っている理論と言えます。

キャズム理論では、購買層を新しい技術に対する反応によって5つに分類します。イノベーター(新しいものが好き)、アーリー・アダプター(新技術の導入に積極的)、アーリー・マジョリティ(実利があれば導入する多数派)、レート・マジョリティ(皆が使うなら使う)、ラガード(新しいものを避ける)の5つです。特に、アーリー・アダプターとアーリー・マジョリティの間には、まるで溝(キャズム)のように、大きな価値観の違いがあり、多くの新興企業がその溝にはまって失敗してしまうというものです。

増補改訂版の本書では、いかにキャズムを超えるのか、最新の事例をまとめて解説しています。ハイテク製品を取り扱う経営者、マーケティング担当者、技術リーダーには必読の一冊です。

Hooked ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルール

FacebookやTwitterなど、21世紀に大きな成功をつかんだWebサービスには「習慣を作り出した」という共通点があります。始めは単なる友達リストであっても、毎日、友人の近況が流れるようになると、その流れに乗り遅れないよう、アプリにハマってしまいます。このような心理をうまくデザインしているのが勝利の法則となりました。

使われ続ける製品・サービスを作るためのフレームワークとして「フック・モデル」が提唱されています。きっかけ、行動、報酬、投資のサイクルを通じて、まるでゲームを楽しむように、人はサービスを利用する習慣を身に付けていきます。

自社の製品・サービスにどう応用できるかを考えながら読むと、実務にもすぐに役立つアイデアが生まれてくるかもしれません。

グロースハック 予算ゼロでビジネスを急成長させるエンジン

前述の「Hooked」と同様に、近年、劇的な成長を遂げたWebサービスのマーケティング戦略には「グロースハック」という理論が隠されています。グロースハックでは、お金ではなく知恵を使ってユーザーを獲得し、指数関数的に成長を遂げる手法を提案しています。具体的には「AARRRモデル」と呼ばれ、Acquisition(獲得)、Activation(活性化)、Retention(継続)、Referral(紹介)、Revenue(収益化)という5つのステップから成ります。これらを徹底的に定量化して分析し、数多くの施策を高速で展開して、爆発的な成長を実現します。

「続きを読みたければシェア」といった簡単なアイデアでも、既存のユーザーから新規ユーザーを呼び込む仕組みになり、お金をかけずに成長を促進するグロースハックと考えられます。このような事例を豊富に紹介し、グロースハックの理論を解説しているのが本書です。

サブスクリプション・マーケティング――モノが売れない時代の顧客との関わり方

Neflix、Spotify、Amazonプライムなど、定額課金で使い放題のサービスが増えています。買い切りのモノよりも、初期投資額を減らして使う分だけサービスとして利用したいと考える消費者が増えているのです。

「所有から利用へ」「販売から関係づくりへ」という現代の大きな潮流を解説しているのが、「サブスクリプション・マーケティング」です。マーケティングの在り方やビジネスモデルが従来とは異なってきており、考え方の変換が必要とされています。

顧客の習慣作りを助ける、成功を祝う、コミュニティを作る、解約には快く応じる、自社のストーリーを共有する、といった要素がサブスクリプション・マーケティングには含まれています。

まとめ

コトラーやキャズム理論といった古典的なものから、グロースハックやサブスクリプションを含めた最新のものまで、重要な書籍を紹介しました。マーケティングは変化が激しい分野なので、本質的な部分への理解を深めつつ、新しい理論にも目を通しておくと良いでしょう。

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