「製品と解くべき課題」「製品と市場」が合致しなければ起業は成功しない

※当サイトではアフィリエイト広告を利用しています。

ビジネスモデル解説

新たな事業のアイデアを考案した際には、一歩引いて、そのアイデアについて評価を加えてみましょう。新規事業を検討する際には、いくつかの適合度を検討する必要があるとされます。

プロダクト・ソリューション・フィット(製品と問題の適合度)

新規事業の創造は、社会に存在する問題の発見と解決と言い換えてもよいでしょう。何らかの問題で困っている消費者を特定し、そのニーズを満たす最適な方法を組み立てるのがビジネスモデルです。起業家が事業を立ち上げたいと思っても、その製品で問題が解決されるユーザーがいなければ、事業は成り立ちません。喉を潤したい人にジュースを売るから買い手がつくのであって、喉の乾いていない人に無理矢理売りつけようとしても上手くいかないものです。

重要な問題を特定できても、それに合致する製品を考案できなければ、事業の存続は叶いません。原材料や人件費といったコストが高すぎたり、事業を軌道に乗せるための初期投資が多すぎたりすると、事業アイデアは「絵に描いた餅」に終わります。思いつきで終わらず、具体的なビジネスモデルへと昇華させるため、事業計画などの考案が求められるのです。

実証済みのビジネスモデルを参考にすると、製品と問題の適合が図りやすくなる場合があります。例えば、情報共有の手間がかかり問題を抱えている場合、クラウド上のデータ共有すると情報共有が捗るといった具合です。医療業界だろうと、小売り業界だろうと、情報共有という問題は同じなので、ビジネスモデルも似たものが活用できます。さらに、いずれの場合でも、プライバシーの問題が提起されるのは容易に想像できるので、ISOなどの業界標準に従って個人情報保護の対策を採る等、新規事業立ち上げに必要な作業が自ずと明らかになります。

プロダクト・マーケット・フィット(製品と市場の適合度)

新しい製品を開発した場合、最も重要なのは消費者に受け入れられるかどうか、という点です。誰も見たことがないような未知のアイデアを考えたとしても、それを欲しがる人がいなければ意味がありません。ヒット商品は、必ず、製品の魅力と、それを評価する消費者層が合致したところに生まれるものです。また、先行者利益(ファースト・ムーバー・アドバンテージ)が活かせるのは、そこに利用者が存在し、それを囲い込めるからです。製品の新規性が高ければ高いほど、市場と適合しないリスクが高まります。

実証していないビジネスモデルは、起業家が考えた仮説に過ぎません。ある層の人々が潜在的なニーズを抱えていると思っても、製品を提示し、それを気に入って、購入の決断をするまでには大きな隔たりがあるものです。ささいな製品仕様の違いが、製品の使い勝手を大きく左右し、ユーザーが気に入ってくれない場合もあります。また、当初想定しなかったユーザー層が、思いのほか気に入ってしまい、重要な顧客となるケースも少なくありません。

世界中の若者に人気の写真共有アプリInstagramも、初めから、そのビジネスモデルだったわけではありません。ゲーム的な要素を取り入れながらレストランやショップなどに足跡(チェックイン)をつけるアプリで開始した同社は、当初、多くのユーザーを集められなかったと言います。そこで余計な要素を排除し、写真共有に特化したところ、ユーザー数が増加し、Facebookによる買収へといたりました。

新規事業開発に関する理論は、ほとんどがプロダクト・マーケット・フィットに関するものと言っても過言ではありません。後述する「リーン・スタートアップ」など、どのようにすれば効率的に無駄なく、製品と市場が適合する分野が見いだせるかが大きな課題となっています。

プロダクト・マーケット・フィットを見出すには、顧客からのフィードバックに頼るしかありません。顧客は、見たことのない製品を欲しいということはないため、起業家が新しいものを提案し、潜在的なニーズを掘り起こすのです。他のビジネスモデルから学んだアイデアの場合、そのアイデアの一部分は既に実証済みなので、プロダクト・マーケット・フィットを見出すのが容易になるというメリットがあります。

タイトルとURLをコピーしました