Amazon、Facebook、Google、Apple、Microsoft、Netflix。職務記述書から見るプロダクトマネージャーの役割の違い

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CTOの視点

プロダクトマネージャーの役割は、取り扱う製品やビジネスモデル、さらには企業文化に影響されます。プロダクトマネージャー一人一人にインタビューすれば、その回答は全て異なるのではないかと言われる程です。同じ会社でも、部署が違えば求められる能力も違います。

例えば、AirbnbのようなB2C企業であれば、ユーザー体験に詳しいプロダクトマネージャーが求められるでしょう。一方で、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)を始めとする技術者向け製品であれば、技術的な素養が必須です。本記事では、GAFA、GAFAM、FAANGと呼ばれる米国のテック企業を例に、その役割の違いについて考察します。

Amazon:技術寄り、ビジネス寄りと異なるプロダクトマネージャーの役割

Amazonは徹底した顧客主義やデータに基づいた意思決定を重視する企業文化で知られています。プロダクトマネジメントにおいても、顧客にとっての価値をKPI(重要評価指標)で証明する態度が求められ、数字に強いプロダクトマネージャーが求められる印象があります。

Amazonの求人サイトを見ると、技術寄り(Technical)のプロダクトマネージャーと、技術寄りではない(Non-technical)プロダクトマネージャーが募集されています。技術寄りのプロダクトマネージャーは、顧客のニーズを製品計画や仕様に落とし込む役割を担います。ソフトウェア開発の学位や就業経験はもちろん、MBAの学位が評価されます。技術とビジネスの双方に知見のある人材が求められています。

一方、技術寄りではないプロダクトマネージャーは、担当する領域の業務知識やユーザー体験に関する知識が必要です。技術寄りではなくても、基本的なソフトウェア開発方法論を持っている人材は好まれます。

Facebook:個人に責任が委譲されたフラットな組織で周囲を巻き込み製品開発を牽引する

世界を開かれて、つながったものにするというミッションを掲げるFacebookは、全世界に20億人以上のユーザーを抱えるようになりました。そのミッションが表すように、従業員たちの関係もフラットで、個人に責任が委譲されていると言われます。ザッカーバーク氏が「完了は完璧よりも良い(Done is better than perfect)」と唱えたように、スピード感を持って、柔軟に取り組んでいく姿勢が求められる環境です。

Facebookでの製品開発は、多数のユーザーに展開してもコストが増加しないよう、拡張性が重視されます。プロダクトマネージャーも、技術的な知識が求められる場合が多く見られます。また、フラットな組織であっても、リーダーシップを発揮して、周囲を巻き込んでいく能力が評価されるようです。

Google:関連部署との利害を調整できるコミュニケーションが要求される

検索エンジンやGoogleマップに見られるように、Googleは膨大な情報を多くのユーザーが活用できるようユニークな製品を開発してきました。現在の姿にとらわれず、ユーザー体験の向上を追求し、それを世界中に展開するのを得意としている企業です。初めは馬鹿げたアイデアに見えても、それを可能にしてしまう技術力があります。

Googleのプロダクトマネージャーは、関連する領域の担当者とコミュニケーションをとり、戦略的に製品開発へ取り組める人を求めています。言われたことを実行するよりも、価値のある問題発見、問題設定ができる態度が好まれます。

実際、ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)では、開発・マーケティング・法務・ユーザー体験といった関連部署と協業する責務が明記されています。知識や興味の異なる部署と会話するには、それらの分野の基本的な知識と高いコミュニケーション力が必要になるでしょう。

Apple:ソフトウェアからハードウェアにまたがるビジネスモデルへの理解

Appleの企業イメージと言えば、洗練さや創造性といったものが挙がるのではないでしょうか。iPhoneに代表されるように、誰もが羨むような高品質な製品を発明し、情報産業を牽引してきました。いわゆるGAFA企業の中では、ハードウェアの開発を手掛けているという違いがあります。

Appleのプロダクトマネージャーは、ユーザー体験への理解が欠かせません。徹底した顧客目線により、洗練された製品開発を牽引します。全く新しい製品カテゴリに対し、起業家精神をもって取り組む役割が与えられる場合もあります。また、Appleは独自の仕様に基づいて製品群を提供する「閉じたエコシステム」を展開する傾向があるため、Apple製品への理解も評価される傾向にあります。

Netflix:博士課程の保持者を含め、高い専門性が期待される

動画配信プラットフォームとして急成長を遂げたNetflixは、個人の自由と責任を重視する企業文化で有名です。例えば、休暇を何日でもとっても良いとされる一方で、その分、個人に与えられた成果は確実に達成することが要求されます。ポリシーよりも個人を尊重するというやり方は人を選ぶと言われます。

Netflixのプロダクトマネージャーには、担当する分野への興味と共に、高い専門性が求められます。例えば、コンテンツの検索機能を担当するプロダクトマネージャーであれば統計や機械学習技術に関する修士や博士の学位取得が要件となる程です。

Microsoft:製品開発の各フェーズでリーダーシップを発揮する

マイクロソフトは、WindowsやOfficeを始め、企業のIT利用、生産性向上に欠かせない存在であり続けています。近年は、クラウド事業に注力し、大企業ながら、柔軟にビジネスモデルを変えていく頑健さを見せてきました。多様な技術を取り入れ、ビジネスの成長にするのが特徴です。

マイクロソフトのプロダクトマネージャーは、ビジネスの成長を実現するリーダーとしての役割が求められています。関係各所とコミュニケーションをとり、製品開発の各フェーズで求められる責任を愚直に遂行していくことが要求されているようです。

まとめ

ソフトウェア業界におけるプロダクトマネジメントは、GAFA等のテック企業で発展してきた側面があります。プロダクトマネージャ―は技術とビジネスをまたぎ、関連部署を結びつけて、製品開発に関するリーダーシップを発揮します。たとえ、人事上の部下を持っていなくても、戦略立案と遂行において、その責任は重要なものです。その分、大手テック企業では、高い給料が与えられる役職でもあります。やりがいある仕事に挑戦したい人は、プロダクトマネージャーへの理解を深め、そのキャリアパスについて検討してみてはどうでしょうか。

プロダクトマネジメント入門講座:作るなら最初から世界を目指せ!シリコンバレー流Product Management

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テクノロジーの聖地シリコンバレーからPMの仕事や魅力とキャリアの可能性を、在住13年以上、現在米系スタートアップで働く現役Principal Product Managerが具体的事例をもとに紐解きます。

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