ピボットによって、起業のアイデアを大胆に修正し、成功へと導く

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ビジネスモデル解説

リーンスタートアップでは、最低限の機能だけ開発し、できるだけ早くフィードバックを受けてビジネスモデルの検証を進め、顧客が本当に欲しがる製品の創造を目指します。では、フィードバックの結果、これまで作成してきた製品が顧客と異なっていた場合には、どうしたら良いのでしょうか。より顧客の要望に合ったビジネスモデルへと戦略を転換する手法は「ピボット」と呼ばれます。

YouTubeやAirbnbの成功にもピボットは必要だった

バスケットボールで、片足を一か所に留めたまま、もう一方の足を移動させ、自分の体の向きを回転させる動きはピボットと呼ばれます。リーンスタートアップにおいても、ビジネスモデルの一部を据え置いたまま、他の部分を変更し、戦略の転換を図るのです。新規事業のビジネスモデルはあらゆる部分が未知の状態にあるので、ピボットを繰り返して、最適な戦略を検証するのが狙いです。

例えば、YouTubeは、当初、動画を使ったお見合いサービスとして開始したと言われています。しかし、しばらく運営していく中で、お見合いとは関係のない動画をアップロードする人が増え、動画を共有するために利用する人が多い傾向が分かりました。そこで、動画共有に特化したサービスへとピボットを果たし、結果として、世界最大の動画共有サービスへと成長したのです。

また、民泊サービスの大手Airbnbもピボットを経験しています。立ち上げた当初は、「bnb」つまり、ベッド・アンド・ブレックファスト(寝床と朝食)の提供をルールとしており、家主がお客を泊めて、朝食を作ってあげる方法を採用していました。しかし、利用者が十分に集まらなかったため、ピボットの必要性が認識されました。そこで、家主のルールを撤廃し、個人間の空き部屋・空きスペースの貸し借りに特化したところ、利用者数が大幅な増加が始まったのです。シェアリングエコノミーを代表するサービスも、初めからその戦略が見通せていたわけではなく、ビジネスモデルの検証とピボットを繰り返し、大きな会社へと育っていきました。

ピボットでは何を変え、何を変えないのかを十分に分析する必要がある

ピボットを行う際には何でも変えて良いというわけではありません。バスケットボールのピボットと同様、ある一部はそのままに残した状態で、他の部分の変更を図るのです。すでに検証済みのビジネスモデルは、ピボットした後でも有効なままだからです。ビジネスモデル・キャンバスを描き、同じ製品でも異なる顧客層に提供できるか考えてみましょう。提供するチャネルが変われば、それに対して提供する価値やパートナーとの関わり方も変わってくるかもしれません。何を変え、何を変えないか、という判断は起業家の決断にかかっています。

ピボットは10個の型に分かれると言われています。

  • ズームイン型ピボット
    1. 製品機能の一部が製品全体となる
  • ズームアウト型ピボット
    1. 製品全体と考えていたものを、もっと大きな製品の一機能としてとらえなおす
  • 顧客セグメント型ピボット
    1. 製品仮説が部分的に検証され、適切な問題を解決してはいるが、最初の想定とは異なる顧客の問題だった場合
  • 顧客ニーズ型ピボット
    1. 顧客にとって重要でないニーズを解決していることがわかった場合
    2. 別の重要かつ自分たちが解決できる問題を発見した場合
  • プラットフォーム型ピボット
    1. アプリケーションからプラットフォームへ、またはその逆
  • 事業構造型ピボット
    1. BtoBやBtoC
  • 価値補足型ピボット
    1. 価値の捉え方を変えると、事業戦略やマーケティング戦略に様々な影響が出る
  • 成長エンジン型ピボット
    1. 成長のスピードアップや利益の多い成長を実現するため成長戦略を切り替える
  • チャネル型ピボット
    1. 同じソリューションを他のチャネルで提供したほうが効果が高いと判断したときに行う
  • 技術型ピボット
    1. 大企業が得意とする持続的イノベーション

ピボットを実施する上での注意点

ピボットを行って立案した新しい戦略も、起業家の頭の中にある仮説に過ぎません。リーンスタートアップの原則に従い、必要最小限の製品を作ってフィードバックを受ける手続きを繰り返さなければなりません。また、ピボットは1回行えば終わりという類のものではありません。検証の結果がうまく行かなければ、再度、ピボットを行う場合もあります。調達した資金が底を尽き、起業家の情熱が失われるまで、ピボットは何度でも行われるものです。

ピボットを前提にした起業には批判の声が聞かれます。長期的なビジョンもなく、行き当たりばったりでピボットを繰り返していると、結局、どのように社会へ貢献したいのかも分からず、新規事業の方向性を見失う結果に陥りかねないからです。ピボットをしても変えてはならないビジョンやミッションは守りつつ、顧客が求めるものと製品のすり合わせを進めていくのがピボットのあるべき姿です。

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