プロダクトマネジメント・トライアングルって何?ユーザー・開発者・ビジネスの三者を満足させる製品開発

※当サイトではアフィリエイト広告を利用しています。

CTOの視点

プロダクトマネジメント・トライアングルは、Daniel Schmidt氏によって提唱されたフレームワークで、製品開発にかかわる要素とその関係性を示したものです。プロダクトマネジメントで行うべき活動と、解決するべき緊張関係についての理解を深めてくれます。

プロダクトを取り巻くユーザー・開発者、そしてビジネス

プロダクトマネジメントは、ユーザーを満足させる商品を開発しながらも、開発の予算や人員を上手に管理し、会社に収益をもたらすために追求される分野です。ユーザー・開発者・ビジネスの3者は、それぞれ異なる興味と利害関係を持っています。この関係性を上手く表現したのが、プロダクトマネジメント・トライアングルです。

トライアングルの頂点にはユーザー・開発者・ビジネスが存在します。ユーザーは、製品を通して何らかの目的を実現したいというニーズを持つ顧客です。開発者は、社内でプログラミング等を行い製品を開発するエンジニアを指します。ビジネスは、利益を追求する組織としての会社であり、管理職や経営層が責任を持っています。

それぞれの関係者をつなぐプロダクトマネジメントに関わる活動

トライアングルの3辺には、それぞれの利害関係者をつなげる製品にまつわる活動が該当します。ユーザーと開発者をつなぐのは、ユーザーを理解し、それを製品に反映させようとする活動です。ユーザー調査やWebアナリティクスなどを通して、ユーザーが抱える不満や隠れたニーズを理解します。ユーザーは自分のニーズを充足してくれる製品を探しているのに対し、開発者はその製品をいかに実装するかに興味があります。この異なる興味を橋渡しするのが、この領域におけるプロダクトマネジメントの活動です。

ユーザーとビジネスをつなぐ辺には、収益化やビジネスモデル開発、ビジネスデベロップメントの活動が該当します。ユーザーが頻繁に使う製品であっても、それにお金を払わなければ、会社は存続できません。よくベンチャー企業界隈で、ユーザー獲得に躍起になりながら、収益化を後回しにしている企業が見られますが、そのような企業は、ユーザーとビジネス間の検証を怠っていると理解できます。

開発者とビジネスをつなぐ辺には、予算管理、製品開発計画、資金の確保、プロジェクト管理が含まれます。会社が持つ予算は有限なので、開発者はいつまでも新製品の検証ばかりやっているわけにはいきません。最適な投資を行うために、開発者が最高のパフォーマンスを発揮できるよう支援し、組織が同じ方向に進めるよう努めます。

異なる利害関係から生じる緊張関係と、それを解決するプロダクトマネージャーの役割

各辺同士が交わるところには、それぞれ緊張関係が生まれます。ユーザーに関する部分では、「ユーザー・開発者」間での活動と「ユーザー・ビジネス」間での活動が交わります。たとえば、ユーザー調査の結果、顧客から支持された製品機能が、ビジネス面から見たら全く貢献しない場合、その製品機能は実装するべきでしょうか。広告を画面に表示するのは、ビジネス面ではプラスでも、ユーザーにとってはマイナスだったりします。このような緊張関係を管理し、意思決定を下すのがプロダクトマネージャーの役割です。

ビジネスにまつわる緊張関係では、「ユーザー・ビジネス」と「開発者・ビジネス」が交わります。ユーザーが購買意欲を示した機能について、開発者が優先順位を持って取り組むよう働きかけなければなりません。しかし、開発者は安定した製品運用を行うために、お金になる機能実装よりも、メンテナンスや効率性向上の取り組みを行いたいと希望するケースもあります。このバランスをとるのがプロダクトマネジメントの重要な仕事です。

開発者にまつわる領域は、「ユーザー・開発者」と「開発者・ビジネス」が交わる点です。ユーザーのニーズを検証するには、製品を実際に作るのが一番です。しかし、予算が限られた状態では、際限なく検証を行うわけにもいきません。そこで、最低限の機能を持った製品(Minimal Viable Product)を使ったリーン開発手法が採用されてきました。MVPのリリースにどの製品機能を含めるかどうかを決めるのは、製品開発の成否に大きく関わります。

プロダクトマネージャーの責任範囲

プロアクトマネジメント・トライアングルを踏まえると、プロダクトマネージャーの責任範囲は、複数チームにまたがり、かつ、それらを調整する役割である点が明確になります。具体的には、以下のような作業が含まれます。
まず、マーケットリサーチの実施、市場データの収集、および顧客フィードバックの分析を通じて、市場の機会と顧客のニーズを特定します。これらの洞察を活かし、プロダクト戦略を立案し、チームへ周知します。プロダクトのビジョン、ゴール、プロダクト全体の方向性を定めます。そして、製品戦略は、より詳細化した上で、優先順位を付けて、ロードマップを落とし込みます。プロダクトロードマップには、機能の開発、改善、およびリリースのためのタイムラインが含まれます。また、顧客フィードバックを踏まえて、ロードマップは更新が必要になるので、常に最新の状態にあるようメンテナンスを行います。


さらに、ロードマップから具体的な要件へと紐づけられます。ステークホルダーと連携した上で、詳細なプロダクト要件、ユーザーストーリー、およびユースケースを定義します。企業によってはプロダクトマネージャーがUXデザインを主導する場合があります。製品がユーザーのニーズ、使いやすさといった設計要件に焦点を当ててデザインされるよう試みます。開発局面では、複数チームにまたがるコミュニケーションを促進する役割を担います。例えば、デザイン、エンジニアリング、マーケティング、営業といったチームと連携し、統合されたプロダクト開発プロセスを目指します。


プロダクトマネージャーは、製品の成功を測定するための主要な指標(KPI)を定義し、データに基づいた意思決定が行えるよう目指します。技術的な指標だけでなく、経済面からの指標も対象となり、プロダクトが継続的に収益に貢献するよう確認します。そして、計画から開発、測定に至るプロセスは、反復的に行われるものであり、継続的に改善できるようにするのがプロダクトマネージャーの役割です。

プロダクトマネージャーに求められるスキル

プロダクトマネジメント・トライアングルを踏まえて、プロダクトマネージャーに求められるスキルを考察すると、幅広い分野が対象となります。技術・ビジネスといったものから、コミュニケーションやリーダーシップのようなソフトスキルも含まれます。


技術的知識
開発者である必要はありませんが、開発する製品の基本的な技術については理解しておく必要があります。要件定義の際に、当然、必要になるのに加え、エンジニアと会話する際に、基礎的事項が共有できていると、コミュニケーションが円滑になります。また、技術的な制約や、難易度、実現可能性を評価する際にも技術的な知識は必要です。加えて、近年のプロダクトマネジメントでは、アジャイル開発に基づいた場面が多く見られます。そのため、アジャイル開発や開発プロセスそのものについても理解しておくことが望ましいでしょう。


ビジネスの知識
予算管理や指標の測定・管理といった基礎的なビジネスの知識は、プロダクトマネージャーに求められます。やはり、マーケティングや営業といったビジネス側のチームと会話する際に、共通の言語を理解しておくのが、コミュニケーションにおいて重要になってくるのです。他にも、市場調査や競合分析といったスキルも、求められるビジネス知識に含まれます。広い意味では、戦略的思考やデータに基づいた意思決定、ロジカルシンキング、クリティカルシンキング、リスク管理といったものもビジネススキルの一部です。


ソフトスキル
異なる目標を持ったチーム間で意見を調整するには、高度なコミュニケーション能力が求められます。経営層から顧客に至るまで、幅広い層から意見を吸い上げ、また、必要に応じて、意見を主張する態度が必要です。また、製品ビジョンを実現するよう、リーダーシップを発揮し、目標に向かって複数のチームをまとめていきます。柔軟な対応が求められるアジャイル開発においては柔軟性や優先順位付けが重要になります。他にも、顧客中心主義や時間管理といったスキルも必要になると考えられます。

プロダクトマネージャーのキャリアパス

プロダクトマネジメント・トライアングルを考慮すると、エンジニア側からプロダクトマネージャーへ転身する方法と、ビジネス側から転身する方法が考えられます。いずれの場合も、過去の経験を活用した上で、各チームと連携する役割を担えるのが利点です。


ジュニアレベルのポジション
必要とされるスキルが高度であり、リーダー的な役割が求められることから、新卒レベルからプロダクトマネージャーを採用する企業はあまりありません。しかし、場合によっては、アソシエイト職のプロダクトマネージャーを置く組織もあります。上位の役職者を支援する役割で、市場調査やデータ分析といった仕事を担います。


技術側からは開発者やSE、UX/UIデザイナー、プロジェクトマネージャーといった役割からプロダクトマネージャーへと移る人が見受けられます。技術面の理解が高く、技術者との議論や製品の実現性評価といった面で活躍できます。一方、ビジネス側からは、ビジネスアナリスト、マーケティング分析者などがプロダクトマネージャーの候補となりえます。


シニアレベルのポジション
技術・ビジネスのスキルを身につけた後、プロダクトマネージャーの役割を担えるようになります。プロダクトマネージャーの中には、そのスキルセットに応じて、細分化した役割を任されるケースがあります。例えば、高度な技術の理解が必要な企業では、エンジニア出身の人材をテクニカルプロダクトマネージャーとして置きます。また、プロダクトマネジメント・トライアングルのビジネス側に重点を置いた、プロダクトマーケティングマネージャーへ移っていくケースもあります。


経営層のポジション
プロダクトマネージャーとして経験を積んだ人は、経営層の一人としてCPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)へ進むキャリアパスが考えられます。会社全体の戦略に合わせて長期的な成長を目指し、製品戦略やイノベーション戦略を立案する役割です。また、経験を積んだプロダクトマネージャーは、自ら製品を開発するべく起業家になるケースもあります。

プロダクトマネージャーとしての体験談

筆者も技術系スタートアップでプロダクトマネジメントの役割を担った経験があります。プロダクトマネジメント・トライアングルで示されるように、異なるチームと調整する必要に迫られました。まず、開発者・ビジネス側との協業においてはロードマップの作成及びメンテナンスを行いました。CPOがトップダウンで出す戦略と、開発チームがボトムアップで報告する各イテレーションの進捗について情報収集し、ロードマップを最新化する作業です。顧客からの依頼などの受動的な案件が突発的に入るため、常に優先順位は変更され、必要なリソースも変わってくるので、それらの調整は大きな課題となりました。


また、マーケティング調査・市場規模分析・競合分析といった役割も担いました。複数ある領域の中から、それぞれの市場規模を予測し、次に参入するべき分野はどこかを考察する仕事です。スタートアップの資金調達で投資家から聞かれる成長戦略や、開発チームの作業計画に影響するものでした。調査会社が発表したトップダウンとの予測だけでなく、どのような顧客が何社あり、どのくらいの売り上げが期待できるかといった要素に分解し、ボトムアップ型の計算で市場規模を予測するのは簡単ではありませんでした。


筆者の場合、UI/UXに関わる経験は、それほど多くありませんでしたが、企業としてはユーザーインタビューなどを実施し、次なる製品戦略や要件定義に役立てています。このように、プロダクトマネジメント・トライアングルの各要素は、スタートアップの製品開発プロセスで実際に使われていることが理解できます。

まとめ

プロダクトマネジメントとは複数の領域にまたがる仕事なので、それを簡単にまとめるのは困難です。プロダクトマネジメント・トライアングルは、その全体像を俯瞰するのに有効な手法と言えます。実際は、企業によってプロダクトマネージャーの役割は異なっており、ビジネス寄りの人もいれば、開発者寄りのプロダクトマネージャーも存在します。重要なのは異なる利害関係者と上手にコミュニケーションをとり、製品の成功にコミットすることなのではないでしょうか。

プロダクトマネジメント入門講座:作るなら最初から世界を目指せ!シリコンバレー流Product Management

テクノロジーの聖地シリコンバレーからPMの仕事や魅力とキャリアの可能性を、在住13年以上、現在米系スタートアップで働く現役Principal Product Managerが具体的事例をもとに紐解きます。

プロダクトマネジメント入門講座:作るなら最初から世界を目指せ!シリコンバレー流Product Management
タイトルとURLをコピーしました